【検証】九州地銀18行の第3四半期決算(2)
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1.預金残高について (その2)
<表から見えるもの>
◆前期比マイナスの銀行は肥後銀行と佐賀銀行の2行。
第3位の肥後銀行の総預金は前期比▲710億円の4兆1,255億円。その内容を見ると、預金は484億円増加しており、マイナスとなったのは譲渡性預金(以下NCD)を▲1,240億円減らしたことによる。今までは鹿児島銀行と競っていたが、両行は経営統合しており、もはや高金利のNCDを取り込む必要はなくなったからだと言えよう。
一方、鹿児島銀行の総預金は前期比+1,191億円の3兆6,740億円。NCDの925億円の増加によるもので、預金はわずか266億円(増加率0.8%)しか増加していない。このNCDの増減は、九州FG内の綱引き争いの一端なのかもしれない。
もう1つマイナスの銀行は、第9位の佐賀銀行で▲25億円の2兆809億円。やや低迷しているのが目立つ。◆九州地銀18行のうち、第9位の佐賀銀行までが預金残高2兆円以上。1兆円台は第10位の熊本銀行の一行だけで1兆3,584億円。佐賀銀行と比べて7,000億円以上の開きがある。
第11位の北九州銀行以下は1兆円を切っており、預金残高でみる限り、上位行と下位行が完全に二分されている状況となっているのが分かる。
下位9行のうち、熊本銀行・福岡中央銀行(ふくおかFG)、北九州銀行(山口FG)、長崎銀行・豊和銀行(西日本シティ銀行G)の5行はグループに属しているが、残り4行は今のところ単独路線での経営を続けている。
しかし日銀は、従来の量的・質的金融緩和を継続したうえで、「マイナス金利付き量的・質的緩和」を掲げ、国債を中心に資産を購入する「質」。大量の資金供給をする「量」。今回マイナス「金利」を導入。この3つの異次元金融緩和手段を駆使して、2%のインフレ目標の早期実現を目指そうとしている。したがって、1兆円以下の銀行が今後も独自で生き残っていくには厳しい環境にあることが分かる。◆第15位の豊和銀行は前期比+42億円の5,190億円。よく見ると前期にはなかったNCDを47
億円を取り込んで前期比プラスとなっている。新たにNCDを導入したことは、預金が思うように集まらない実態を表しているといえよう。
現在ペイオフは表面化していないが、下位行にとっては株価や景気の低迷がこのまま続くことになれば、厳しい状況を迎えることになりそうだ。
2月16日から日銀のマイナス金利が実施された。銀行は預金を集めても貸出する先はなく、国
債をはじめとする投資有価証券の運用益も期待できなくなってきている。九州地銀18行の預金
順位争いは、今後どのように変化していくのだろうか。(つづく)
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