十八銀とふくおかFGの経営統合の衝撃(前)
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「十八銀行は、福岡銀行・熊本銀行・親和銀行の3行を傘下に持つふくおかFGと2017年4月をメドに経営統合し、18年4月に同じ長崎県に本店を構える親和銀行(佐世保市)と合併予定」のニュースが流れると、九州の金融機関のみならず、全国の地方銀行に大きな衝撃を与えることになった。
それは、同じ長崎県に本店を構える第一地銀同士の合併だったからだ。かつては北の親和銀行、南の十八銀行と長崎県内で棲み分けがきていたが、人口の減少と地域経済の縮小にともない、もはや今ではお互いが生き残りを賭けて、体力消耗戦を繰り広げるようになっている。それがある日突然、「昨日の敵は今日の友」と手をつなぐ事態に。両行の行員並びに取引先にとっても、青天の霹靂だったと言われる。両行の合併については、独禁法の関係もあり、事前に金融庁の了解を得たうえで、極秘裏に経営統合を進めていたと見られる。裏を返せば、金融庁サイドが全国の地方銀行に向けて、競合している銀行同士の経営統合に、ゴーサインを出したということを意味している。
すでに都銀は整理されているが、今回の十八銀行とふくおかFGの経営統合について、ある金融関係者は、「金融庁がいよいよ、地銀や信用金庫・信用組合などの地域金融機関の整理淘汰に、本格的に乗り出してきた」と語る。現在、第一地銀協会に加盟している銀行は全国で64行。第二地銀協会に加盟の銀行は41行。バブル崩壊で第二地銀の整理淘汰はある程度は進んだものの、下表のように第一地銀の多くは、地域内で競合しながらも生き残っていることがわかる。しかし、これからは人口の減少が本格化し、地域経済が衰退していくなかでもはや共存することはできないばかりか、新たな金融危機の可能性さえ指摘されているのだ。
表から見えるもの
下表を見ていただきたい。第一地銀64行のうち、ほぼ半数にあたる31行が14府県で競合している。第一地銀が4行競合しているのは福岡県。次に静岡県の3行が続く。また第二地銀では4つの都府県の銀行が、競合している。
国勢人口調査(15年10月1日現在)によると、長崎県の人口は137万5,646人。人口の多寡や経済基盤により取り巻く環境の違いはあるが、これらの銀行を中心に経営統合が進むものと見られている。
今年4月にコンコルディアFG(横浜銀行+東日本銀行)が誕生する。また足利銀行を傘下に持つ足利ホールディングス(栃木県)と常陽銀行(茨城県)が、今年10月1日に経営統合する予定になっている。今後、地方銀行は、県境を超えた経営統合だけではなく、域内の金融機関同士の水平・垂直の経営統合も進むことになりそうだ。(つづく)
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