十八銀とふくおかFGの経営統合の衝撃(中)
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さて、ここからは、十八銀行とふくおかFGとの経営統合が九州の地銀に与える影響について、話を進めていくことにしたい。
十八銀行は1877(明治10)年9月2日に、第十八国立銀行として長崎市で創業。その後、十八銀行へと商号変更した。
ちなみに、明治時代に創業した名残を今も伝えている数字の行名の地銀は、十八銀行を含め、七十七銀行(宮城県)、第四銀行(新潟県)、八十二銀行(長野県)、十六銀行(岐阜県)、百五銀行(三重県)、百十四銀行(香川県)の7行。第一地銀64行のうち、一割強を占めているから驚きだ。一方、親和銀行は1897(明治30)年2月15日に第九十九国立銀行として佐世保市で創業。佐世保銀行への改称を経て、佐世保商業銀行との合併時、親和銀行に商号変更している。
現在、九州地銀は18行あるが、2010年10月に山口銀行の九州エリアの営業を引き継いで設立された北九州銀行を除き、それぞれに地域経済を支えてきた長い歴史がある。
別表の(1)九州地銀(18行)の存立基盤を見ていただきたい。九州の勢力図の変遷である。これを見れば、過去も現在も福岡県が九州の中心であることがわかる。今まさに金融戦国時代真っただ中にある状況だが、“黒田官兵衛”率いる黒田藩を存在基盤とするふくおかFGが九州全域を制覇する勢いを見せていると言えよう。今回の十八銀行とふくおかFGの経営統合と、その後に予定されている十八銀行と親和銀行の合併で、九州の金融再編の行方はどうなるのだろうか。まずは別表(2)九州の県別人口及び地銀(18行)の預金残高表から検証していくことにしたい。
表から見えるもの
国勢調査(15年10月1日)の速報値では、九州の人口は約1,300万人。そのうち福岡県の人口は約509万人で、その割合は39.1%。福岡県に本店のある地銀5行のシェアは、45.3%と6ポイント以上高くなっており、とくに福岡市が経済の中心的役割を果たしている。
ここで目につくのは長崎県だ。人口比率は10.6%。5年間で人口の減少(5万1,133減)が最も多かったが、十八銀行と親和銀行の2行がライバル関係にあり、共に競い合った結果11.8%と1.2ポイント上回っている。九州全体で約19万人減少している。九州7県のなかで、唯一増加したのは福岡県だけだが、それは福岡市が7万4,767人増加したことが大きい。福岡市は20ある政令指定都市のなかで、前回7位から京都市、神戸市を抜いて5位に躍進しており、今後も増加していくと見られている。
十八銀行の本店は長崎市であり、親和銀行の本店は佐世保市だ。両行は18年4月に合併する予定。名称その他はこれから話し合われることになるが、長崎商工会議所を含め経済の中心地は長崎市であり、合併後の本店は十八銀行本店となると見られている。ふくおかFGにとっては、地域経済が縮小している佐世保市の巻き返しが気になるところだろう。(つづく)
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