【検証】九州地銀18行の第3四半期決算(4)
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これから九州地銀(18行)の収益状況について検証していくことにしたい。
3.収益について
<表から見えるもの>
◆豊和銀行の9カ月(15/4~15/12)の当期純利益は3億円。予想の当期純利益10億円に対する達成率は30%と、九州地銀18行中最低となっている。
・当期純利益目標10億円は、「旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟」における損害賠償金を織り込んでのものと思われるが、判決言い渡しは今年3月31日となっており、目標達成は厳しい状況。修正を迫られることになりそうだ。
裁判の概要は下記の通り。
・平成19年4月20日、経営責任究明特別委員会の調査結果に基づき、大分地裁に対し、5グループ6社の融資事案に関し、善管注意義務違反による損失額約82億円の内の一部請求として、元取締役・元監査役の8名に対し、金20億円の支払い(連帯債務)を求める損害賠償請求訴訟を提起したもの。
・平成19年6月の第1回口頭弁論期日以降、審理が行なわれていましたが、平成27年12月25日に結審し、判決言渡しは平成28年3月31日の予定となっています。
豊和銀行のホームページ(2016.2.16 重要なお知らせ)から抜粋。
・豊和銀行の15年12月30日の株価(終値)は81円だったが、2月26日は74円(▲7円)となっており、裁判が株価に反映してるようだ。◆福岡銀行の9カ月(15/4~15/12)の当期純利益は350億円。当期純利益予想451億円に対して達成率は77.8%。75%(2/3)を超えているものの、今年に入り株価や投資有価証などが大幅に値下がりしているうえ、日銀がマイナス金利を導入するなど収益環境は悪化しており、目標の100%達成には、かなりの努力が必要な数字と言えよう。
◆達成率が70%台は、北九州銀行の76.0%、十八銀行の79.8%の2行。福岡銀行と同様に、かなり無理をしなくては、達成は難しい状況と推測される。
◆福岡銀行・北九州銀行・十八銀行を除く15行は、目標利益は達成可能な計数となっている。
◆ふくおかFGの連結修正後(第3四半期)の当期純利益は364.9億円で、通期予想の440億円に対する達成率は82.9%となっており、グループ全体では達成可能と思われる。
・十八銀行がふくおかFGグループの傘下に入ると、西日本FG(仮称)や九州FGとの収益格差は大きく広がるものと見られる。
◆九州FGの連結修正後(第3四半期)の当期純利益は1,081.9億円で、通期予想の1,080億円に対する達成率は100.2%となっており、達成可能と見られる。今回1,000億円を超える予想利益となったのは、10月1日付で経営統合したため、特別利益927億円(負ののれん発生益885億円+段階的取得に係る差益42億円)などによるもの。一過性の収益であり、来期からはその実力を問われることになりそうだ。(つづく)
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