【検証】九州地銀18行の第3四半期決算(5)
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日本銀行は1月29日に開催された金融政策決定会合の政策委員会で、2%の物価目標を早期に実現するため、「マイナス金利政策」を導入することを決定した。要は銀行に対して、「今までは日銀当座に預入していれば、金利を付けていたが、今後はマイナス金利を適用するので、貸出金を増やすように」とのサインなのだ。
下表の九州地銀(18行)の預貸率・有証比率見て頂きたい。この表は預貸率の低いワーストランク表であるが、日銀の黒田総裁が指摘するように、市中にカネが回っていないことが読み取れる。預貸率から見えるもの
◆2月26日、ふくおかFGは、2017年4月を目処に十八銀行と経営統合すると発表。18年4月に十八銀行と親和銀行が合併する予定だ。
・預貸率ワーストワンの十八銀行(57.8%)とブービーの親和銀行(64.4%)。下表から分かるように、長崎県に本店を構える両行にとっては、合併しか選択の余地がなかったことがわかる。
要するに長崎県では、預金を集めても貸し出す先がないのだ。もし十八銀行が九州FGなどと経営統合した場合、お互いが消耗戦となるところだっただろう。重複する50店舗を閉鎖するコストは膨大だが、将来を考えた場合、良い選択だったと言えるのかもしれない。◆預貸率ワーストランキング1位から6位まで、すべて第一地銀である。3位から順に筑邦銀行(64.8%)、大分銀行(64.9%)、佐賀銀行(67.2%)、肥後銀行(67.3%)で、ここまでが60%台。
・7位の福岡中央銀行(74.5%)を挟んで、8位宮崎銀行(75.5%)、9位鹿児島銀行(76.3%)と、ワースト上位は殆ど第一地銀が占めている。
・さらに言えば第一地銀は地域金融機関として確固たる地位を占めており、ペイオフの可能性は低く、預金は集まりやすくなっている。
一方第二地銀は財務基盤が弱く、預金ボリュームは小さい。そのため収益を上げるためには、無理をしてでも貸出金を増やす必要がある。必然的に預貸率が高くなっているのだ。第一地銀はカネが余り、第二地銀はカネが集まらないという、二極分化の構造となっているのだ。◆預貸率トップの北九州銀行は、山口銀行から営業分割した特殊要因によるもので、第一地銀で預貸率80%台維持して、地域経済へ潤滑油を供給し続けているのは、福岡市に本店を構える福岡銀行(83.9%)、西日本シティ銀行(82.6%)の二行だけといえよう。
有価証券比率から見えるもの
◆預貸率の低い銀行は、余った預金を国債や有価証券などで運用して、バランスを取っているのが分かる。ただ日銀のマイナス政策の導入によって、保有する債券は軒並み値下がりしており、一転して厳しい経営環境に立たされている。
<まとめ>
日銀が地方銀行に「貸出を増やせ」と言っても、多くの地銀にとっては貸し出す先がないと言うのが実情だ。12月末の第3四半期決算まで、銀行の収益はおおむね順調だったが、今年に入り事態は急変している。
16年3月期の決算は何とか持ちこたえられるかもしれないが、来年度は厳しい決算が予想されている。果たして十八銀行に続く合従連衡(経営統合)があるのだろうか。九州地銀の今後の動きに注目が集まっている。(了)
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