2024年11月26日( 火 )

迷走する東京五輪の聖火台(3)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 オリンピックのシンボルである聖火台の設置場所がA案に盛り込まれていなかったことに対し、関係者の反応はどのようなものだったのか。

関係者の反応

<文部科学省>
◆馳浩文部科学相は、聖火台は競技場外の設置になると日本スポーツ振興センター(JSC)が「思い込んでいたようだ」との認識を示した。名指しされたJSCの業務は、国立競技場の運営、スポーツ振興くじの実施などのスポーツ関連事業と、学校災害共済給付制度の運営などの学校関連事業。JSCは文科省管轄の中期目標管理法人だ。

 親元の馳浩文科相が火の粉を被らないように防衛線を張った発言は、大会組織委員会の森喜朗会長の逆鱗に触れることになった。

<独立行政法人日本スポーツ振興センター>
◆発注者のJSC側は、「あくまで競技場を作る立場で、聖火台は大会組織委員会が検討、設置するもの」との見解を表明。因みにJSC理事長の大東和美氏(67歳)は報徳学園高校から早稲田大学に進学。学生時代はラグビー選手として活躍した。主将を務めた1970年度に大学選手権で優勝し、社会人の新日鐵釜石に勝利して日本選手権を制覇。大学卒業後はラグビー部がない住友金属工業(現・新日鐵住金)に入社。主に営業畑を歩み九州支社長等を務めた後、その人脈を生かして2005年にJリーグ・鹿島アントラーズの専務取締役、翌2006年に代表取締役社長に就任。その後Jリーグ第4代目チェアマン、日本サッカー協会副会長を歴任し、2015年10月より現職。

 JSC理事長は民間人から登用されており、標的にされても反論できない苦しい立場にあるようだ。

<遠藤利明東京五輪担当相>
◆第三次安倍内閣で東京五輪担当相に任命された遠藤利明氏(68歳)は、元プロレスラーで文部科学相の馳浩氏と同様、森喜朗氏の推薦で大臣のポストを射止めたといわれる。

 遠藤利明五輪担当相は3月8日、閣議後の記者会見で、自身が議長を務める関係閣僚会議で聖火台に関する議論がなかったことを認めた上で、「検討ワーキングチームの初会合を、11日に実施すること」を明らかにした。検討チームの議長は遠藤氏が務め、スポーツ庁や東京都、JSCら10人がメンバー。聖火台を競技場の中と外のどちらに設置するかや、費用などの課題を洗い出すとしている。4月下旬までにとりまとめ、新国立競技場は当初の計画通り、5月中に基本設計を終える予定という。

<公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会>
 同委員会は2020年夏のオリンピックの開催地が東京となったことを受け、同競技大会の準備及び運営に関する事業を行うことを目的に、日本オリンピック委員会(JOC)と東京都が設立。2015年1月に公益財団法人となり、森喜朗元首相(78歳)が会長、専務理事(事務総長)には 武藤敏郎氏(72歳)=大和総研理事長、元財務事務次官、元日本銀行副総裁が就任。今も元森内閣の首相と財務事務次官のコンビがパスをつないでいるのだ。

(つづく)
【北山 譲】

 
(2)
(4)

関連記事