2024年04月17日( 水 )

千葉銀行と武蔵野銀行が資本・業務提携

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 千葉銀行と埼玉県を地盤とする武蔵野銀行は、25日午後、資本や業務を含めた包括的な提携契約『千葉・武蔵野アライアンス』を締結した。
Allianceとは、日本語に直訳すると「同盟」だが、カタカナのアライアンスとして使用される場合は、「企業同士の提携」として用いられている。

 記者会見の席上、千葉銀行の佐久間英利頭取は、「地方銀行として、それぞれが独立経営を維持しつつ、幅広い分野で連携して効果を高めていきたい」と語り、武蔵野銀行の加藤喜久雄頭取も、「合併や経営統合ではなく、新たな地銀連携モデルを構築していきたい」と、経営統合とは違う、第二の道を歩む抱負を語った。
 両行は今後人材交流のほか、商品やサービスの協業、ITシステムの開発など、包括的な提携によるコスト削減を進めるとともに、両行が持ち合う株式も追加取得(ただし、持株比率は3%以内)して、資本関係を深めていくことにしている。両行は提携による効果を今後5年間で、100億円と見込んでいる。
 地方銀行の経営環境は、日銀のマイナス金利政策導入や無店舗のインターネットバンキングなど、コストの安い他業種が銀行業へ参入してきており、厳しさを増しているのが現状だ。そのため、お互いが地域でのブランド力を生かして、『包括的な提携』=『同盟』という新たな枠組みで、業容の拡大を目指す道を選択したと言えよう。

 今年4月1日、横浜銀行と第二地銀の東日本銀行(本店:東京都中央区)が経営統合し、コンコルディア・フィナンシャルグループ(以下FG)としてスタートする。救済的な経営統合の色彩を帯びているものの、それ以上のメリットを享受できるとの見方が有力だ。本店が神奈川県横浜市にある横浜銀行は、行政区域の違う東京都内に支店を出す場合、数々の制限を受けるが、東日本銀行を傘下に収めることによって、首都東京に拠点を設けることができるからだ。

 九州では福岡銀行・熊本銀行・親和銀行の3行を傘下に持つふくおかFGが、十八銀行を17年4月に経営統合(その後親和銀行と合併)する予定となっている。長崎県の中枢金融機関である十八銀行と親和銀行が、ふくおかFG(本店:福岡市)の傘下に入る。また長崎銀行も西日本シティ銀行(本店:福岡市)の100%子会社となっており、長崎県にとっては地域金融の衰退は深刻な状況となっている。
 また昨年10月2日に、九州FG(肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合)がスタートしたが、県境を越えた経営統合は、今後経営をめぐる主導権争いが起きる可能性も秘めている。地方銀行同士の経営統合の難しさは、まさにそこにあるのだ。
 別表を見て頂きたい。総資産(15年3月期)で地銀トップのふくおかFGは、十八銀行との経営統合まで、その座を明け渡すことになるが、トップの座を取り返すのは容易ではないかもしれない。

<まとめ>
千葉銀行の佐久間頭取は、『千葉・武蔵野アライアンス』に対して、『両地域金融機関の新たな形
となる』と語っている。金融庁主導の経営統合に二の足を踏む地銀が多いなか、「包括的な提携」という耳新しい選択肢が加わることで、地銀の金融再編は今後加速することになりそうだ。

【北山 譲】

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