「汐湯」を復活した地域密着型リゾートによる『再生』(後)
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(株)KPG HOTEL&RESORT 唐津 網元の宿 汐湯凪の音
地域振興の一助としての在り方
地元の期待を高める要因の1つが、従業員を積極的に地元で採用するという同社の基本方針にある。現在、アルバイトを含めて62名(正社員15名)のスタッフは8割が地元の人たちだ。地域密着は雇用だけではない。地元の商工会や旅館組合に参加し、地域経済活性化のためにノウハウを惜しみなく提供している。高山総支配人は近隣の飲食店などに顔を出し、積極的に意見交換を行うといった活動も続けている。さらに、地元・唐津市の人には、「汐湯」の入浴料(大人900円)に割引特典(大人500円)があるなど、徹底した地域密着路線がとられているのだ。
地元の人々に身近な「汐湯凪の音」は、利用者にとっても身近な存在である。「50代から60代のご夫婦の方や、20代から30代のお子さま連れの方など、ちょっとだけ足を延ばしてゆっくりしたいというお客さまにご愛顧いただいております」(高山総支配人)。人口150万人の福岡市中心部から車で1時間あれば着き、静寂と高級感にあふれた空間が都会の喧騒を忘れさせてくれると評判だ。
利用者は右肩上がりで増えており、総数23室の客室(2~6人部屋、収容人数57名)の稼働率は年間で80~85%。週末の「汐湯」には、地元の人も含めて150~200名の人々が日頃の疲れを癒しに訪れている。そこには、破綻した頃の面影はない。むしろ、復活から2年目にして、ニーズに応えるために施設の拡充が検討されているほどである。
「汐湯凪の音」がある唐津市は、2015年国勢調査で人口12万2,859人。佐賀県では佐賀市に次いで2番目に人口が多いが、前回調査時(2010年)から4,067人減少し、同県内で最も減少数が多い自治体となっている。少子高齢化が進むなか、そのほかの自治体と同様、定住人口の減少に歯止めをかけることが喫緊の課題。観光などで交流人口を増やし、地域の魅力を知ってもらうことも有効な手段だ。「唐津市にある豊富な観光資源を活かして、唐津市全体で多くの人を呼び込めるようになるよう一緒に取り組んでいきたいと思います」と、高山総支配人。
ホームページには、「虹の松原」「唐津城」「旧唐津銀行」「鏡山展望台」「唐津曳山展示場」「七ツ釜」「呼子朝市」「宝当神社」といった観光スポットを紹介。また、それらの観光資源を活かした10分間のPR動画の制作にも協力しているという。新しく生まれ変わった「汐湯凪の音」では、“唐津市に来ていただく一助”となるべく、施設の在り方が考えられている。
(了)
【山下 康太】<COMPANY INFORMATION>
唐津 網元の宿 汐湯凪の音
所在地:佐賀県唐津市浜玉町浜崎1613
TEL:0955-56-7007
FAX:0955-56-7008
URL:http://shioyu-naginoto.jp関連記事
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