賢い電力会社の選び方でシンポ「自然エネルギーにパワーシフト」
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4月からの電力小売り全面自由化を前に、自然エネルギーを応援するための賢い電力会社の選び方をテーマにしたシンポジウムが3月27日、福岡市で開かれた(主催は、市民団体などでつくる実行委員会)。約120人が参加し、参加した市民は「持続可能な社会のために、市民が電力会社のビジョンを判断して選ばないといけない。市民の責任が求められている」などの感想を語った。
シンポジウムでは、パワーシフトキャンペーン運営委員会事務局の吉田明子氏(国際環境NGO「FoE Japan」原発・エネルギー担当)が基調講演した。「電力自由化だけでハッピーなわけではない」として、安い電気料金の競い合いと大量消費すればするほど安い料金体系、電源構成の情報開示の不十分さなどの問題点を指摘。再生可能エネルギーを選ぶことでエネルギー政策を変える可能性にふれて、「消費者の声が、再生可能エネルギーの電力会社を後押しする」と呼びかけた。
同キャンペーンは、自然エネルギーが中心となった持続可能なエネルギー社会にむけて、電力のあり方を、変えていく(パワーシフト)を目指している。吉田氏は、「『原発で発電していない電力会社、自然エネルギーの会社はないのか』という声がよくある。そのような電力会社はあるが、宣伝力の差で、消費者に知られていない。環境団体、消費者団体の力で、(電力会社の情報を)可視化しようとキャンペーンを始めた」と述べ、「電源構成や環境負荷などの情報を一般消費者に開示していること」「再生可能エネルギーの発電設備からの調達を中心とすること」など重視している5つのポイントを紹介した。同キャンペーンは、5つの重視する点を目指している電力会社(現在、14社)などの情報を提供。自然エネルギーの電力会社を応援する「パワーシフト宣言」をインターネットで募集している。
みやまスマートエネルギー(株)(福岡県みやま市)の白岩紀人・経営企画部長、太陽ガス(株)(鹿児島県日置市)の及川斉志・新エネルギー推進チーム長がそれぞれ事業内容や取り組みを紹介した。
みやまスマートエネルギーは、電力の地産地消を掲げて、みやま市が55%出資した会社で、家庭などからの太陽光発電電力の買い取りや電力小売りを行っている。
白岩氏は「電力事業は、目的ではなく手段であって、電気代をいただいて、地域の課題を解決する。電力小売り契約では、売電とともに地域ならではのサービス提供もセットで進めている」と語った。太陽ガスの及川氏は、「2050年にどのようなエネルギー社会が訪れているか想像してみてほしい」と呼びかけた。同社は地域電力事業として、小水力発電や市民共同発電所から電力を調達し、16年6月から一般家庭向け供給をスタートする。海外からの燃料への依存からの脱却、地域経済への貢献、持続可能なかたちでのエネルギー供給をめざしている。「『少しでも高くても自然エネルギーの電力がほしい』という声をあげてほしい」と話した。
また、(株)ウインドファームの社長で、チェルノブイリ原発事故や福島原発事故の被災者支援に取り組んできた中村隆市氏が、ベラルーシや福島の被害を報告し、「パワーシフト宣言をもっと進めて、4月以降、1日も早く、原発を稼働している電力会社から切り替えてほしい」と訴えた。
シンポジウムでは、森あや子、荒木龍昇両福岡市議が挨拶した。
【山本 弘之】
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