地雷撤去から「自立支援」へ主軸移す(前)
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一般財団法人カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)理事長 大谷 賢二 氏
カンボジアでの地雷撤去活動支援や被害者救済などを行っている(財)カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)。その活動は20年にわたり、地雷被害者数は20年前の20分の1ほどに減った。理事長の大谷賢二氏は、地雷で手足を吹き飛ばされた被害者の自立支援を行うことこそがいま重要、と話す。その進展や現況を、対戦車地雷という新たな地雷問題、周辺地域での教育支援などとあわせて聞いた。
――CMCは設立から20周年を迎えようとしています。現在、カンボジアに埋められた地雷の数はどうなっていますか。
大谷賢二氏(以下、大谷) 私が個人的に活動を始めた1996年ごろ、カンボジアに埋められていた約1,000万から1,100万個の地雷は、現在約300万から400万個に、約3分の1にまで減ったと言われています。「言われている」というのは、実際に埋められた数が不明確だからです。カンボジア内戦は東西冷戦や中ソ対立を背景とし、埋められている地雷は中国製、旧ソ連製、ベトナム製、アメリカ製と多岐にわたるため、全体の把握が困難な状況なのです。
――これまでの活動を通して確かに地雷の数自体は減ってきた。被害者数はどうでしょうか。
大谷 98年に私が「カンボジア地雷撤去キャンペーン」という名前で活動を始めた時は、年間に2,000名以上の地雷被害者が出ていましたが、2013年には111名にまで減っています。
――被害者数でみると、より如実に地雷撤去の効果が現れていますね。
大谷 ただ、近年は新たな地雷被害者が出てきています。人が通っても事故が起こらないため、これまで安全としてみなしてきた地帯、いわゆる「みなし安全地帯」での地雷事故が近年増えています。対人地雷は撤去され、人が徒歩で通ることができるようになった一方で、対戦車地雷の存在がいま表面化している。対戦車地雷は約500kgから1tの重量で作動するものですが、例えば刈入れ後の稲などをたくさん積み、労働を終えた農民が乗り込んだトラクターなどは相当な重さとなり、対戦車地雷を踏むと起爆するのです。
(対戦車地雷爆発による、被害者の画像を見せてもらう。足や、腕まで吹き飛ばされた衝撃的な画像)
大谷 この方は数時間後亡くなりました。対人地雷は、そもそも人の命を奪うようには設計されていません。人間の足だけを吹き飛ばし、手負いの兵士を生むことで敵方の戦意、戦力を削ぐことがねらいです。しかし対戦車地雷となると、戦車の装甲を破壊する威力を持ちますから、それに巻き込まれれば死に至ります。
――死亡事故の件数でいえば、むしろ増えているということですね。
大谷 はい。ヒトやモノの物流が盛んになり、トラクターやバスの往来が激しくなってきたことで、地中の対戦車地雷が作動するケースが増えています。対人地雷の探知機は、皆さんよくイメージされる、掃除機のようなものですが、対戦車地雷の発見には専用の探知機が必要です。当然コストもかかり、数名がかりで作業しなければなりません。近年は政府が幹線道路などの拡幅の際に、対戦車地雷の探知を行うようになっています。
(つづく)
<INFORMATION>
一般財団法人 カンボジア地雷撤去キャンペーン
理事長:大谷 賢二
所在地:福岡市早良区西新1-7-10
TEL:092-833-7676
URL:http://cmc-net.jp関連キーワード
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