地雷撤去から「自立支援」へ主軸移す(中)
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一般財団法人カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)理事長 大谷賢二氏
――教育支援のなかで地雷回避対策をとられていますね。
大谷 地雷回避教育は、小・中学校や地域を対象に、うちで制作したマニュアル本や地雷模型を用いながら行っています。私たちはカンボジアでラジオ番組「ボイス・オブ・ハート」の制作、放送をして地雷被害者のメンタルサポートを行っていますが、そのラジオでも地雷を発見したり、被害にあった際の対応を呼びかけています。
――そうした活動も地雷被害者数を減らしてきているわけですね。
大谷 しかし、気をつけなければならないのは年間あたりの被害者数は減っていても、これまでの累積がありますから、地雷被害者の総数は当然増えていることとなります。次はそこに目を向けなくてはならない。
――どのようなことを行っていくのですか。
大谷 被害者の方の仕事を保障し、自立支援を行っていくことです。カンボジアの農村部では健常者でも仕事に就くのが困難です。カンボジアにはメコン川が流れていますが、その流域を離れると、少雨地帯も広がっており、水の確保が難しい。地雷被害者の方々が農業に就こうとなると、さらに困難な状況です。
地雷被害者はいわば隔離政策がとられ、プノンペンから約110kmほど南に下ったデチョウ村のように、地方の農村部に集められています。そこでの生活は保護されていますが、自分で働いて収入を得る、ということができない。――地雷被害者の就業支援で、現在進んでいる事例はありますか。
大谷 デチョウ村で、「さをり織り」という織物制作の導入を進めているところです。本部のある大阪で研修を終えて技術習得したカンボジア人含め現在2名が指導しています。カンボジア日本人材開発センター(CJCC)が毎年開催しているジャパンウィークで、今年はデチョウ村の人がつくったさをり織りが出展したところ、現地のテレビ放送で取り上げられるなど高い注目を集めました。資金面から織機などの設備はまだ十分でないですが、いま軌道に乗りつつある段階です。
――ほかに取り組んでいるものはありますか。
大谷 近年は経済発展が一巡し、カンボジアとタイの国境に経済特区(SEZ)が設けられました。中国経済の悪化や反日デモなどの要因もあって、いわゆるチャイナ・プラスワン、さらには水害や軍事クーデターなどの影響からタイ・プラスワンとも最近は言われ、カンボジアに拠点を移す日系企業が増えてきています。働く側からすると、工業であれば天候に左右されることもなく、収入が安定する。双方にとってメリットがあり、あっせんする形での支援に、現在動き出したところです。
そうして、自分で働いて自分で稼いでいくことが、自身の誇りを取り戻し、差別の解消につながっていくのだと思います。(つづく)
<INFORMATION>
一般財団法人 カンボジア地雷撤去キャンペーン
理事長:大谷 賢二
所在地:福岡市早良区西新1-7-10
TEL:092-833-7676
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