新日見トンネルが4車線化へ~アクセス向上、長崎市民の念願かなう
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長崎市民の念願だった新日見トンネルの4車線化がようやく実現する。国土交通省は4月1日、新日見トンネルの2016年度新規事業化を発表した。かつて「西の箱根」と呼ばれた難所の日見峠に掘られた新日見トンネルは交通事情の改善に貢献したものの、2車線の状態が長く続いていた。慢性的な渋滞の解消と、東長崎地区の開発促進につながると地元の期待は大きい。
4車線化されるのは長崎市本河内と芒塚町を結ぶ延長1.6キロの区間で、総事業費は41億円。2車線の新日見トンネル(1.055メートル)は日見バイパス事業として1999年に開通している。日見バイバスは国道34号線の交通混雑を緩和し、市中心部と東部地区の連絡強化を目的に76年から整備が始まった。2001年に馬町交差点と切通交差点の間の7.1キロが全線開通したが、新日見トンネルの区間だけが暫定で2車線のまま残されていた。
日見バイパスは江戸時代に長崎と小倉を結んだ長崎街道沿いに整備されている。日見峠は街道最大の難関として知られ、日見宿が置かれた。長崎の出入り口ともいえる場所であり、シーボルトや坂本竜馬らも通ったといわれている。1882年には峠を切り下げた日本初の有料道路である日見新道が開業。国の有形文化財にも登録されている日見トンネル(642メートル)は1926年に完成し、第二次世界大戦中には魚雷工場として使われ、今も現役である。
国道34号線は佐賀県鳥栖市と長崎市を結び、沿線には佐賀市、武雄市、大村市、諫早市などがある。このため利用者の移動だけでなく、物流の面でも需要が大きい。34号線沿いに開発されてきた長崎市の東長崎地区では多くの新興住宅地がベッドタウンとして機能しており、また中央卸売市場やごみ焼却場、水族館、大学などの施設も集まっている。地区内の戸石漁港は市内有数の漁港で、水揚げされる魚介類や養殖カキは市民の間で人気が高い。このため日頃から交通量が多く、2車線の新日見トンネルでは慢性的な渋滞が発生し、事故も多発していた。
事業計画によると、現在2.51の混雑度は4車線化で0.73と約7割の減少。切通交差点から日見バイパス西口交差点間の所要時間は12.6分から7.3分に短縮される。トンネル内の対面通行が解消されるため、交通事故は約76%減少すると推計。加えて渋滞解消域観光周遊ルートの信頼性が向上することもプラスに評価された。新日見トンネル芒塚町側は長崎自動車道の長崎芒塚ICのすぐ近くにあり、さらに本河内側は長崎外環状線ともつながっている。これにより市の中心部へのアクセスが向上し、また観光客の目的地の分散化を進めることが可能になり経済効果は大きい。国によると4車線化による経済効果は53億円。
田上富久長崎市長は1日、市の公式HPで歓迎のコメントを発表。渋滞解消や安全性向上、東長崎地区の振興、観光活性化などに対する期待を述べた。現在、新幹線整備や県庁移転などにともない長崎駅周辺の再開発が進んでいるが、日見バイパスはこの地区ともアクセスしており、新日見トンネルの4車線化は公共交通の利便性向上にも大きな役割を果たす。 15年以上止まったままの工事現場を横目に見ながら、早く4車線化してほしいと願っていた長崎市民にとっては嬉しいニュースだ。
【平古場 豪】
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