韓国経済ウォッチ~韓国総選挙の意外な結果(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
今回の総選挙の結果の分析と、今後の予想をしてみよう。
まず、与党は今回の選挙の責任をめぐって、内部の葛藤が予想される。親朴系は無理やり親朴系の人物を公認したことで、このような結果になったと紛争が予想される。それは大統領の国政運営にも負担になるだろう。
それだけでなく、今回の総選挙は16年ぶりに野大与小のねじれ現象をもたらした。ということは、朴大統領が180議席くらいを確保して推進しようとしていた4大改革案などに、支障が出てくるかもしれない。朴大統領の任期は、残り1年10カ月くらいあるが、予想より早くレームダック現象が起こる可能性も高い。中国と日本では、朴大統領と合意した内容などが実行できるかどうかも懸念している。それから、野党が力を持つことになって、大統領は今まで以上に野党との意思疎通に努力する必要があると指摘している。今まで大統領のコミュニケーション力がそれほど高く評価されていなかっただけに、国政運営に問題はないだろうかと心配するようになる。
今回の選挙結果は、国民は与党の独走を牽制したいという意味で「共に民主党」と「国民の党」に投票しているものの、今の「共に民主党」に満足しているわけではない。
「共に民主党」は湖南地域の支持をベースに成長したが、結果的には湖南地域の住民の声に耳を傾けず、一部の派閥で固まっていて、改革をおろそかにしているという批判がずっとあった。その結果が、今回の選挙には如実に表れた。
前代表である文在寅(ムン・ジェイン)氏を野党の大統領選挙に候補として出しては、当選が難しいという危機意識があるのは事実だ。文氏は最後に光州を訪れ、今回の選挙で湖南の指示を得られなければ、大統領選挙にも出馬せず、政治をやめると約束したので、今後の活動に制約が出てくるだろう。「国民の党」の場合、「共に民主党」の代わりに湖南で支持を得られるようになったことは、大きな財産である。一部では、湖南に支持が限定されていることは弱みであるとの評価もあるが、時間があって、他の地域でも良い候補を出していれば、議席をもっと増やしたかもしれない。
「国民の党」は、自由民主連合以来20年ぶりに、韓国の政治で第3の党が誕生したことになる。「国民の党」はキャスティングボートを握ることになったので、政局運営のキーを握るようになったとも言える。また安氏はこれによって、来年の大統領選挙では、かなり有利な立場で戦いに挑むことができる。それに政党支持率においては、25.54%の「共に民主党」を抑えて26.74%の支持を獲得し、2位になっている。発足してから数カ月の政党にとっては、驚きの結果である。
ただし、国民は両党制度に嫌気をさして今回「国民の党」に投票したが、「国民の党」が何かやった結果ではないことは間違いない。それを肝に銘じる必要があるだろう。今回の総選挙は、来年の大統領選挙の予備選の意味合いもあると指摘したが、今回の総選挙で、大統領の候補として与党で期待されていた人物が落選したことも大きな話題である。元ソウル市長を務めた呉世勲(オ・セフン)氏、前京畿道の知事を勤めた金文洙(キム・ムンス)氏は、大統領選挙の出馬が有力視されていたが、今回の選挙結果の影響がありそうだ。
最後に、大統領の候補の一1であった今の与党代表も選挙の責任問題で辞任することになると、与党の大統領候補として推薦を受けられるかどうかわからない。与党の候補として待望されている人物は、国連総長の潘基文(バン・キムン)事務総長である。(了)
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