【熊本地震最前線レポート】(45)~安心できる場所がない!
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18日の午前中に福岡市内のある設備会社の代表を取材した中で、今回の熊本大震災の惨状についての話があった。熊本市内のマンションが大打撃を受けているという。部屋の中はもちろんのこと、建物自体に亀裂が生じ、壁面が崩れるなど、比較的築年数の新しいマンションも含め損壊しているという。マンションが、実際にどのような惨状であるかを確かめるために急きょ熊本市内に入った。
現地の関係者と合流し、取材が可能な熊本市内の分譲マンションを2棟巡回した。いずれも築年数が5年未満の新しい建物・設備である。結論から述べると、“自然の力”が最新の耐震性の技術力を駆使した建物を破壊してしまう威力を持つことを見せつけられた。耐震性とは何かと自問したが、答えは出てこない。
1棟目は、エントランスのみの取材であった。エントランスの壁面が剥がれ落ち、装飾物にヒビが入っていた。そのエントランスに差し掛かる、アスファルトの道路面は、亀裂と隆起した状態で不安定であった。この建物の駐車場などのスペースを含め、複数箇所で地面に亀裂や隆起が生じていた。
2棟目も同じく熊本市内の分譲マンション。10階強の高さで最上階まで階段で上った。体力的に厳しい。地震が続く熊本市内で、エレベーターの使用は危険である。利用できるのは階段しかないのだが、毎日の生活で荷物を持ちながら階段を昇降するのは一仕事であろう。
最上階から6階まで、給湯関連などの設備が通路を塞ぐように倒壊していた。通路自体にも亀裂が生じていた。さらには居住の壁面に亀裂が走っていた。「有り得ない損壊の状況である。こんな惨状にまでなるとは思いもしていなかった。自然の威力は、人間が設定した耐震性の技術開発などを超えてしまっている」と現地の関係者。実際に目にすると、絶句してしまう。大きな設備がいとも簡単に壊れて倒れてしまう、地震・自然の威力を、その恐ろしさを痛感した。
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この2棟のマンションの取材後に、立ち寄った上記関係者の勤務先付近の建物。こちらは2階建ての木造建築住居であった。築年数は不明だが、相当古いと推察される。床や壁面が損壊し、建物自体の耐久力が非常に厳しい状況がみてとれる。もし再び16日未明レベルの地震が発生すれば、建物自体が倒壊してしまうという。加えて先に取材したマンションも、さらに損壊が大きくなり大惨事となる可能性があるという。
取材の間も、何度か体感できる地震が発生していた。一度は、携帯電話の“けたたましい”警報音が鳴った。「ずっと揺れている」(関係者)と、熊本に住む方々はいう。常に地震の恐怖と隣り合わせの生活であると不安な心持ちを語ってくれた。ライフラインは復旧途上、ビルの壁面やガラス窓が損壊している熊本市の中心部は、いまだにひっそりとした状況である。
建物の中で寝るのが怖く、車中泊する方々が市内の商業施設などの駐車場で多く見られた。安心して過ごせるスペースが皆無の状態である。
熊本の地震の爪痕は、自然の威力の恐ろしさをまざまざと見せつけた。本当の耐震とは何か。皆で知恵を出し合って見つけていかねばならないと感じた。※クリックで拡大
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