2024年11月05日( 火 )

【熊本地震最前線レポート】(48)~謝罪に追い込まれるテレビ局、SNSが活躍

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camera 熊本地震を取材するマスコミの取材姿勢に対する批判が高まっている。これまでも大きな事件や事故、災害のたびにそうした声は上がってきたが、よほどのことがない限りマスコミはだんまりを決め込んでいた。しかし、熊本地震ではテレビ局が次々と謝罪する事態になっている。ことの発端はすべてSNSだ。ネット社会はマスコミにその存在意義を問いかけている。

 仙台放送は19日、同局の関連会社の社員が熊本地震を取材中の系列テレビ局のモラルを指摘するツイッターの投稿に対し、17日午後に事実と異なる虚偽の投稿をしていたとして、謝罪する内容の文章を公式HPに掲載した。系列テレビ局とは関西テレビであり、熊本県菊陽町のガソリンスタンドで中継車が被災した人たちの列に割り込んで給油したことを認め、17日に謝罪している。この件は列に並んでいた地元女性がツイッターに写真付きで投稿したことによって発覚し、関西テレビには非難の声が寄せられていた。

 実はこの時、ツイッターには関西テレビの中継車の行動を擁護する投稿があった。中継車は燃料を自前でドラム缶に入れて乗り込んでおり、危険物の管理をガソリンスタンドに頼んでいるというもので、給油したことを否定する内容だった。「5年前の震災の時も同じ話が流れたので調べました」と第三者の立場を取ってはいたが、ツイッターなどでは関係者による自作自演ではないかと疑いが広まっていた。ハンドルネームと使っていたものの写真から仙台市在住のテレビカメラマンであるとネット上で指摘され、後にアカウントは削除。結局、仙台放送の発表はこのカメラマンの投稿であると認める形となった。

 今回の熊本地震ではSNSが救援や支援活動に活用されている。情報を発信するという役割において新聞やテレビなどの既存メディアが完全に機能しなかった点は否めない。ツイッター上ではヘリコプターの騒音や道を占拠して取材するマスコミ関係者が救援や避難の邪魔になっているなどの投稿が相次いでいる。マスコミも監視される立場になったのだ。熊本地震を取材している毎日放送のアナウンサーがツイッターに弁当の写真を投稿しただけで不謹慎だなどの声が相次ぎ、謝罪したうえで投稿を削除するという騒ぎも起こっている。テレビ局の相次ぐ謝罪は自らに降りかかりつつある変化に対する健全な反応なのだろう。

 とりあえず今は「弊社といたしましては、今後このようなことのないよう、改めて関連会社を含めた社員・スタッフへの教育を徹底してまいります」(仙台放送)という言葉を信じたい。

 
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