熊本地震が激甚災害に指定、被災地復興に弾み
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政府は25日、今月14日から熊本、大分県などで相次ぐ地震により大きな被害が出ていることを受け、激甚災害の指定を閣議決定した。国庫補助のかさ上げで災害復旧事業の地元負担が軽減されるなど、被災者支援に向けた動きがさらに加速することになる。
激甚災害は1962年制定の激甚災害法に基づき、著しい被害をもたらした自然災害のうち、被災地や被災者に対する財政支援の必要性が高いと認められたものが指定される。全国規模で災害そのものを指定する「本激」と市町村単位の「局激」の2種があり、熊本地震は本激。激甚災害に指定されると、公共土木施設や農地などの災害復旧事業に対する国庫補助率がかさ上げされ、中小企業事業者に貸付などの支援措置が行われる。これまで本激に指定された主な地震は阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災がある。
熊本地震における災害復旧事業費は、20日時点で公共土木施設など2,811億円、農地など50億円(うち熊本県内48億円)と見込まれており、中小企業の被害額は約1,600億円とされている。道路や公立学校など公共土木施設の復興事業の国庫補助率は7割から8割ほど、農地や農道、林道などについては8割から9割にかさ上げ。熊本県内の中小企業に対しては信用保険の別枠化、てん補率の引き上げ、保険料率の引き下げによって事業再建を支援する。
激甚災害は、熊本県の樺島知事ら被災自治体の首長らから、早期の指定を要望する声が上がっていた。安倍首相は23日、被災地入りし、記者団に25日の閣議で激甚災害に指定すると表明。補正予算の可能性についても「財政面でもできる限りのことはすべてやっていきたい」とした。
一方、東日本大震災では当時の菅内閣が発生翌日に激甚災害指定したのに対し、熊本地震では前震発生から10日以上経ってからであり、この遅れについてネット上で安倍首相を批判する声が上がっていた。さらに熊本地震を受け、国会で消費税増税の見送りを求められた安倍首相は「大震災級の事態にならない限り予定通り引き上げていく」と答えている。激甚災害の指定は被災地復興に役立つことは疑いないが、政府の熊本地震への対応は今後も注意深く見守っていく必要があるだろう。
【平古場 豪】
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