シェール革命、失敗か?原油安に窮するシェール企業続出
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アメリカで一大ムーブメントを巻き起こした、シェールオイル、シェールガス。シェール(頁岩)を水圧破砕し、その間に閉じ込められていたガスやオイルを組み上げる手法を開発、シェール層が全土に広がるアメリカは一気に世界最大の産油国となった。2015年12月には40年間にわたって封印してきた原油の輸出を解禁、アメリカ産の原油が世界市場に出回ることとなった。アメリカ中部や東部ではゴールドラッシュならぬシェールラッシュが巻き起こっていた。
そのシェール企業が今、危機にさらされている。25日の日経新聞夕刊が、15年からのシェール企業の倒産件数は60社を超え、負債総額は200億ドル(2兆円)にも達すると報じた。記事では、その主要な原因は原油安にあるとしている。WTI原油価格はシェール革命が世間を騒がせ始めた2012年ごろから14年中旬にかけて、原油1バレル(約158.9リットル)はおよそ110ドルから100ドルで推移していた。同時多発テロ、その後のテロとの戦いにより、中東からの石油供給に不安があったことも影響して原油価格が高騰していた。それがシェールオイル・ガスの開発が進んだことにより14年6月を境に下落が始まる。16年4月27日時点では1バレル約44ドルにまで減少してしまった。実に60%の減少である。底を打ったと言われる原油価格ではあるが、この値段では採算割れを起こす企業が続出したのである。その結果、中堅シェール企業のグッドリッチ・ペトロリアムが今月中旬に経営破綻するなど、企業破綻が相次いだのだ。
今年1月からはイランの経済制裁が解除されたということもあり、原油は世界的な供給過剰な状態となっている。それにもかかわらずサウジなど従来の産油国も、アメリカも、石油生産量を下げる姿勢は見せていない。もし自国が生産量を落としたら、他国にそのシェアを奪われてしまうという危機感が、供給過多を続けさせているのである。まさに原油チキンレースといった様相だ。
シェールオイル・ガスにより人類は新たな手法でエネルギーを獲得することができるようになった。ただ、現時点においては、シェール革命自体が供給過多の一因となっており、まさに自らの首を絞めている状態となっている。性急に過ぎた開発により、シェール革命は失敗の様相を呈している。
【柳 茂嘉】
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