イズミ、1兆円へ積極攻勢買収スーパーの再建急ぐ(前)
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総合スーパー(GMS)が苦戦するなかで、(株)イズミが積極出店とM&A(合併・買収)で業績を拡大している。2016年2月期は15.4%増と2ケタ増収を記録、今期も8.6%の高水準の伸びを見込む。売上高1兆円を目指し、今後も地方スーパーのM&Aを進める。一方で、買収した子会社の経営立て直しを迫られている。M&Aの真価が問われるのはこれからだ。
M&A寄与し15%増収
2016年2月期の連結営業収益は15.4%増の6,688億円と、イオン、イトーヨーカ堂、ユニーなどの大手GMSが苦戦するなかで高水準の伸び率になった。4年ぶりにゆめタウンを広島県廿日市市に開業したのを始め、近隣型商業施設(NSC)の「ゆめマートさが」など計5店を出店。ゆめタウン光の森、同久留米などを大型増床したのも寄与した。
大幅増収のもう1つの推進力がM&A。昨年2月、スーパー大栄をTOB(株式公開買付)で連結子会社化したのに続き、10月(株)ユアーズ、11月徳島県地盤の(株)デイリーマートを相次ぎ買収。スーパー大栄の1年間分とユアーズの5カ月分、デイリーマート(年商約90億円)の4カ月分が加わり、合計で売上を約500億円押し上げたと見られる。
営業利益は5.2%増の319億1,200万円、経常利益は4.5%増の311億200万円、当期純利益は8.1%増の187億6,600万円だった。子会社の増加や積極出店で販管費が19.3%増と膨らんだが、増収と粗利益率の改善で吸収した。
強みは店舗の若さ
GMSが苦戦するなかで、イズミが好業績を上げている要因の1つとして、九州を中心に比較的新しい店舗が多いことが挙げられる。前期は既存店売上が直営で2.0%、テナントを含めた全体では1.4%それぞれ伸びた。競合するイオン九州は1.0%減だった。
九州の直営29店の平均年齢は10年6カ月で、イオン九州のGMSとスーパーセンターの合計51店の平均16年3カ月に比べ、5年以上も若い。開業1年未満が3店、3年未満だと8店、5年未満は9店と全体の31%を占める。イオン九州は3年未満だと3店、5年未満はわずか5店と1割に満たない。店舗の若さは集客力に直結する。
イズミは改正まちづくり3法の施行で、九州では07年11月の「ゆめタウン別府」を最後にゆめタウンの開業のストップを余儀なくされている。これに代わって店舗面積1万m2未満のNSCの開発に軸足を移してきた。NSCはGMSを核店舗にする大型商業施設に比べ商圏が小さく、ゆめタウンのような売上は見込めないが、投資コストが少なく、大量出店することが可能。15年2月期の熊本県松橋、熊本市大江、柳川店に続き、前期は「ゆめマートさが」と「ゆめモール筑後」を出店した。
地域1番店死守へ増床
一方で、広域集客のゆめタウンは大型増床で地域1番店の座を確保してきた。前期の久留米、光の森店、山口店に続き、今期は秋に佐賀店を4万9,000m2から5万8,000m2に増床、テナントも173店から207店に増強し、競合するイオン佐賀大和店を引き離す。客はより規模が大きく品ぞろえとサービスの豊富な地域1番店に集まるからだ。競争相手のイオン九州が業績不振で大規模な増床や改装を見送っていることも、同社には有利な環境だ。
前期の経常利益率は4.65%で、セブン&アイホールディングスの5.79%にはおよばないが、イオンの2.20%に大差を付ける。セブンも稼ぎのほとんどはコンビニで、イトーヨーカ堂の前期は設立以来初の経常赤字だった。
(つづく)
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