池田親興氏が語る、ホークス3連覇への手応え(中)
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――序盤の試合をご覧になられて、気づかれたことはありますか。
池田 ホームランの数が、両リーグの間に差がありますね。セ・リーグはホームランが多く、パ・リーグが少ない。おそらく、パ・リーグは、バッターの調整がシーズンに入る時に上手くいっていないのでしょう。パ・リーグのほうがセ・リーグに比べるとピッチャーのクオリティが高いこともありますが。ロッテは中軸が打っていませんが、中軸以外が打って、走って、最少得点を最少失点で賄うという試合をやっています。勝敗が中継ぎにかかっているという昨年のシーズン序盤のホークスで見られたような野球をしています。とっても良い形で試合をしていますが、いかんせん、これが何カ月続くかはわかりません。
おそらく、ホークスの戦力に厚みが出てきた時には、他のチームはバックアッパーが不足しているでしょう。バックアッパー不在がきついのは、今年のオリックスを見ればわかりやすいと思います。ショートの安達が国指定の難病(潰瘍性大腸炎)にかかり、戦列を離脱しました。ショートに関しては、2年前からバックアッパーが足りていません。ホークスから獲得していた金子をホークスに戻していますが、彼がいれば、おそらく安達のバックアッパーとしてレギュラーにいると思います。そこにルーキーを当てはめなければいけなくなりました。しかし、そのルーキーはオープン戦や紅白戦でエラーをして、これでは使えないと烙印を押され、最終的には、中島を持っていきました。
中島は去年から体も大きくなっていますし、守備範囲やバッティング自体も良くないので、バッティングに影響するというところで、中島はファーストで使わないと打線が動きません。したがって、中島を外せない打線を作る時、ショートは誰かと考えなければならない。安達1人がいなくなったことによってチームバランスが変わるということになります。ホークスは、あれだけ打っていた李大浩がいなくなっても、打線をどう組み替えようかという考え方ができているホークスとは質が違います。
今年のホークスは、90勝しなくても優勝すればいい。100勝を目指しているのではなく、優勝を目指しているのです。チーム力の差は、おそらく交流戦に入る前に、見えてくると思います。今年のやらなければいけないこと、足りないものが出てきます。序盤に、カニザレスを使って落としていますけど、彼の調子が上がらなければ新外国人をとるという選択もあります。それに今、バリオスがあまり良くありません。真直ぐの球が走らないので、球をちょっと動かそうとしているんですね。球を動かそうとすると何が起こるかと言うと、コントロールがつかなくなってきます。ストライクが入らず、自滅している格好です。
後ろにサファテがいるので、彼(バリオス)に8回を任せようとしましたが、どうしても苦しい状況で始まっています。寺原がもうすぐ上がってくると思いますが、寺原がそこを賄えるか、バリオスが調子を戻すか、森がそこをやるのか、五十嵐が復調するのか、森福が上手くあてはまるのか、そこに嘉弥真が入ってと、さまざまな選択肢があります。
“今年の形を作っていく”というのが、4月もしくは5月の戦い方です。できれば勝率5割を守っていける野球をしていけばいい。そのなかで打線に火が付くこともあります。また、最少得失点の接戦でいかに勝つかがポイントです。引き分けの試合も多いのですが、その試合で、あと1つ何かして勝つ試合にしていけるか。負けなくて良かったなというのが現状の力なので、そこが勝てるようになればホークスは上のほうを向いてくると思います。
中野社長(以下、中野) 総合的なチーム力がないといけませんよね。さすが、プロOBの専門家は、的確なことを仰られる。池田解説員の言うことは新聞紙上で野球界の偉い方たちがみんな見ていますから。
池田 今はいろんな方面から情報やデータが出ていますので、野球を観る人の幅はものすごく広くなっていますよ。自分でちゃんと意見を言えるような。ただし、それは終わったことに対してのことで、先のことに対しては、僕らが言うことが確かだと思います。歩いた後に足跡ができるのであり、足跡だけで物を言われても結果はわかりません。
見えない部分とは、新外国人やルーキー、または昨年調子が悪かった選手、昨年調子が良かった選手で名前が挙がって来ないような選手がポンと出てきたとき、僕らにとっては計算外、チームにとっては“嬉しい誤算”になると思います。そこをどこまで読めるかが、僕らにとって大切なポイントです。
(つづく)
【聞き手・文:山下 康太】
<プロフィール>
池田 親興 (いけだ ちかふさ)
1959年5月17日、宮崎県生まれ。法政大学卒。83年にドラフト会議で阪神から2位指名され入団。85年は開幕投手に指名され、チームの日本一に貢献した。91年にダイエーに移籍。95年、ヤクルトに移籍し、同年現役引退。中野 武志(なかの たけし)
1944年、福岡市生まれ。法政大学経済学部卒業後、(株)フジソクに入社。福岡営業所所長まで勤めた後、退社。同営業所の営業基盤を譲り受けて77年3月に会社を設立。代表取締役に就任した。趣味は野球とゴルフ。関連記事
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