イズミ、1兆円へ積極攻勢買収スーパーの再建急ぐ(後)
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ユアーズ、不採算店閉鎖加速
ユアーズの前期は5カ月決算で、営業収益は243億600万円、営業利益は5億3,500万円の赤字だった。短期間で多額の赤字を計上したのは、店舗の改装費やPOSレジなどの入れ替え費用がかさんだため。
ユアーズは昨年10月、イズミの連結子会社になると直ちに不採算店の閉鎖、店舗改装、イズミとの情報システムの統合、ゆめカードの導入などの経営改善策に着手。不採算店は昨年11月末、丸和の「サンパル行橋」など京築地方の3店を一気に閉めたのを皮切りに、3月末の丸和・三萩野店(北九州市小倉北区)、海老津(福岡県岡垣町)、綾羅木(下関市)、秋芳(山口県美祢市)の4店を含め、6カ月で店舗数の1割強に当たる8店を撤退した。九州の丸和店舗は10店に縮小した。
ユアーズは連結営業収益553億円、グループの総従業員数約1,900名(パート・アルバイトを含む)とイズミがこれまで手がけたM&Aのなかでは最大。第3者割当増資の引き受けに約45億円と、スーパー大栄のTOBに要した費用の10倍を投じた。
ユアーズは15年9月期に経常利益6億200万円を計上し期間損益は黒字だが、丸和店舗を中心に不採算店を抱えていた。債務超過のため、改装などの設備投資には制約があり、といって店舗閉鎖は財務内容のさらなる悪化を招くため、踏み切りにくかった。
イズミは早期に不採算店処理にめどを付け、安定収益基盤の確立を急ぐ方針だ。改装はドミナント化が進み収益増の見込める広島県のユアーズ店舗に集中させる。今期は低水準ながら経常、最終損益とも黒字を見込む。
M&Aの真価問われる
半面で、店舗運営や品ぞろえ、サービスの「イズミ化」を急ぎすぎると、従来顧客の離反を招く恐れをはらむ。ユアーズは丸和を買収する前は全国の食品スーパーでも屈指の高利益率を誇り、カテゴリーマネジメントを活用した品ぞろえでは定評があった。買収した企業の良さを生かしながらイズミ方式をどう移植させていくか、イズミにとってはM&Aの真価が問われる。
出店や企業買収、昨年1月の広島市草津港の大型物流センター建設などの積極投資で借入金は増加している。前期末の有利子負債は1,929億円と2割以上増加。月商換算では3.46カ月と、流通企業の健全経営の目安とされる2カ月を大きく超える水準に膨れ上がっている。カードによる金融事業を手がけているため、元々借入金の水準は高いが、単体でも1,558億円と月商の3.07カ月分ある。
今期もゆめタウン徳山などで、前期をやや上回る約260億円の設備投資を実施する。来春には広島市西区の複合商業施設「LECT」(レクト、店舗面積約3万9,000m2)を開設するのに続き、熊本県益城町でも大型複合施設を計画している。1兆円達成を目指し、地方スーパーのM&Aも進める方針だ。まずは買収した企業の経営を軌道に乗せることが欠かせない。
(了)
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