熊本地震被害のオートポリス、復旧のメド立たず~日本のレースシーンにも影響(前)
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大分県日田市上津江町にある「オートポリス インターナショナル レーシングコース」は九州唯一の国際公認コースだが、熊本地震の発生直後から施設を閉鎖している。サーキットへのアクセス道路が何カ所も通行止めになっているうえ、施設内にもいくつかの破損個所が見つかったからだ。サーキットを運営する(株)オートポリスは5月2日、施設の閉鎖を16日以降も継続すると発表し、復旧の見込みは立っていない。
ゴールデンウィーク前半の4月29日―5月1日の3日間、施設内で営業している「うかれ亭」が場外に出店し、サーキットの様子を見に来る人たちに名物の牛串を振る舞った。4月30日に訪れると、客らは各々の被災体験を語り合っていた。しかし一様に表情は明るい。男性店主は「落ち込んでいてもどうしようもない。笑って前を向こう」と声を張り上げた。それでも困難はまだまだ続く。
サーキットにアクセスする道は大きく4つ。そのうち、日田IC方面から国道212号線を南下するルートを選んだ。この道は大山川沿いに走っており、途中で松原ダムに行き当たる。ところが、鎌手郵便局を過ぎたあたりで落石により通行止めになっており、係員の指示で広域農道に回り道をしなければならなかった。農道を抜けて松原ダムで合流したものの、小国方面に向かうダム沿いの212号線もまた通行できない。県道647号線から県道12号線を経由して進むが、いたるところで落石が道を塞いで片側通行を余儀なくされた。地元の人の話によると、これらの道は林業従事者が木材の運搬に使っており、通行止めの状態が長く続けば経営にかなりのダメージになるという。木材の値段は下がっているのに運送にかかるコストが増えていけば、その負担に耐えかねた業者が廃業を考えるかもしれない。地震は地元産業にも深く爪痕を残していた。
サーキットの正門には立ち入り禁止の表示が張られ、様子を見に来たライダーたちがなかをのぞき込もうとしていた。同社の発表によると、コースではストレートと第1ヘアピンにヒビや縁石との隙間が見つかっており、パドックビルも内外壁にヒビや脱落。メインスタンドでも地盤沈下やヒビが発生している。しかし、関係者は「これはあくまで表面に見えているだけの現象。地面の中は見えないから、会社も再開の判断が下せない。サーキットは通常の施設と違って平坦な路面でなければならないので、今後は全面的な改修も必要になってくるだろう」と話す。しかし問題はそこだけではない。サーキットの路面は非常に特殊であって、その舗装には高い技術が必要になる。オートポリスの舗装を手がけたのは(株)NIPPOだ。当然、再舗装にあたってNIPPOに依頼するしかないのだが、同社は高速道路の復旧にも携わるという。このためサーキットの復旧は後回しになり、施設の再開はさらに遅れるとの見方もある。
(つづく)
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