韓国経済ウォッチ~サムスンのグループ再編はうまくいくのか?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
グループ再編の観戦ポイントは、3つあると思っている。
1つ目は後継者になるためには、会長の持分を相続しないといけないが、相続するために必要な莫大な資金を、どのような方法で解決していくかという点である。
その方法としては、たとえばサムスンSDSなどが良い事例になるだろう。サムスンSDSは14年1月に上場されたが、その時価総額は20兆ウォンくらいで、李副会長は25%の株式を保有していたので、これだけで約5兆ウォンの資金を確保したことになる。
このように資金を確保する一方、税金をできるだけ抑える方法は何なのかが、模索されるだろう。2つ目は、どの業種を伸ばし、どの業種はやめるかという点である。サムスングループの複雑極まりない所有構造を整理し、シンプルにしていくことと、事業の取捨選択が行われると思われる。
15年の5月に、第一毛織(持ち株会社であったエバーランドの社名変更)とサムスン物産を統合し、統合サムスン物産が実際の持ち株会社になっている。その傘下に、サムスン電子、サムスン生命などが入っている。現在、サムスン重工業などは赤字を垂れ流し、大変な状況に置かれているが、このような業種はひょっとしたらサムスンエンジニアリングと合併した後、売却するのではないかという観測も流れている。
李副会長はスタイルからして、重厚長大産業より軽薄短小産業に力を入れようとしているようだ。その結果、サムスン総合化学、サムスントータル、サムスンテクウィンなどを韓火グループに売却したり、サムスン精密化学もロッテグループに売却済みである。3つ目は、李副会長の特有のどのような戦略を打ち出すかである。李副会長はすでに、M&Aをグループ成長戦略と位置づけているようだ。前回で触れたように、サムスンは以前と違ってシリコンバレーにその前線基地をつくり、積極的に企業買収を検討・実行している。
韓国の国民は、アジア通貨危機を経験することによって、国の経済のためならどのような政策でも協力したいという雰囲気であった。政府では、今後このような経済危機が二度と起こらないようにするため、トリクルダウン効果で国全体が良くなると信じて、財閥系企業を重点的に育成。国民もこうした政府の政策に協力した。
その結果、大手優遇策がとられ、財閥系企業は大きく飛躍したが、大手と中小企業の格差だけが開く結果になってしまった。国の運命を左右するほど財閥が大きくなってしまうと、否が応でも財閥がうまくいくことを願うようになる。
サムスングループ再編はそのような意味で、サムスンだけでなく、一般の国民にとっても焦眉の関心事である。(了)
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