中国経済新聞から学ぶ~上海大丸の苦闘、立地の劣勢を挽回できるか
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昨年2月に試営業開始、5月よりグランドオープンした上海大丸(上海新世界大丸百貨)。私も何度か行ったことがあるが、ちょっと人の入りが少ないなあという印象があった。
オープンしてから1年強経過だが、昨年度(中国の決算は12月)の営業成績がメディアで紹介されている。それによると、営業収入が4.02億元(約66億円)、純利益がマイナス4.14億元(マイナス68億円)だ。何と収入額よりも赤字額が大きいのだ。
立地は南京東路という繁華街。繁華街なので人通りも多いのは確かなのだが、この繁華街は観光客ばかりが多く集まるという特徴がある。
この立地している場所は地方からの観光客が多く、残念ながら地元民でもお金を落としてくれる人がたくさんいるイメージのない場所だ。要するにお金を落としていかない人たちが多く集まる場所だった。休日の日はとにかく黒山の人だかりになる場所だ。日本人になじみの百貨店だと上海には伊勢丹(数字見つけられず)と久光(年間営業額26.4億元)というのがあるが、この2店舗のいずれもが繁華街であることは間違いなく、観光客がメインに集まる場所でもなく、むしろハイクラスの店舗が多く並ぶ通りにあるが、高級百貨店が立地するという点では良い感じの場所ではない。
大丸とは正反対とまでは言わないまでも、人の集まり方がかなり違う場所であると言える。大丸としては、現地企業との事業提携契約を締結し、マーケティング、商品構成計画、内装デザイン、従業員への販売サービス教育、カード政策等、百貨店の開業準備に関わる技術支援を行うという形態でのプロジェクトなので、リスクをあまりとっておらず痛手は少ないかもしれない。
しかし逆に、現地企業のプロジェクトでありながら、なぜこの立地なのかという疑念が残る。事業提携相手が運営している上海新世界商城が比較的うまくいっている(年間営業額35億元、約648億円)ことから、コンセプトの違う大丸でもうまくいくと思ったのかもしれない。となると、これは日本大丸よりも中国側の失策であると言える。メディアで紹介されたのは大丸だけの記事かと思いきや、日系ということで高島屋まで引き合いに出されている。2012年に上海に進出した高島屋、当初年間130億円の売上を計画したのだが、ふたを開けるとその半分しか達成できなかった。
このような状況を挽回すべくいろんな取り組みをしているようで、連休中に高島屋に行ってきたが、名探偵コナンのイベントが開催されており、かなりの行列ができていた。私が見たときは100分待ちくらいだった。さて、また大丸の話に戻る。一階と二階は主にラグジュアリーブランド、時計、化粧品が主体で、フェラガモ、グッチ、ティファニー、バーバリー、といったラグジュアリーブランド、資生堂、SK-Ⅱ、ランコム等の化粧品ブランドがある。ヴィトン、プラダ、エルメスといったブランドはない。ディオールとシャネルは化粧品だけだ。
そして、フロアが上がっていくと客数はどんどん少なくなり、そこにあるのは日系ブランドが多く、日系ブランド好きにはいいのだが、一般的には中国での知名度は高くないものばかりだ。いろいろと取り組んでいるようだが、なかなか成果は出ていないようだ。さて、この大丸のある南京東路という立地、長く上海に住んでいる人であれば、およそショッピングのために行く場所ではないというのはわかっている。
繰り返しになるが、地方からの観光客が多く、またそういった上海に慣れていない人たちをカモるための人たちも多いので、あまり良い印象はない。しかし、何も知らない人が来ると、あまりの人通りの多さに圧倒され、立地が良いと勘違いしてしまう人がいる。数年前にこのエリアに進出した飲食店のイベントに招待されたことがある。その時に、なぜこの立地に出店したのかを聞いたことがある。その飲食店は立地として厳しいのは十分にわかっていたようで、しかし賃料がそれほど高くなかったこともあり、テスト的にやってみようという話だった。こういう割り切りがあったうえでの出店であればわかるが、一番最初にこのエリアに出店するというのは、ちょっと考えにくい。
さて、今後どうしていくのか。立地の劣勢を挽回するのはかなり難しいように思うのだが。
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