2024年11月24日( 日 )

九州地銀(18行)の決算を検証する(3)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 九州地銀(18行)の16年3月期決算を検証していくことにしたい。日銀のゼロ金利政策が続いている中、日銀は追い打ちをかけるように今年1月29日、マイナス金利政策を導入。銀行にとっては、預金を集めてももうからない状況が続いており、預金に対する地銀のスタンスが変化してきているようだ。

1.預金残高について

 別表の預金残高順位表を見ていただきたい。順位変動があった。宮崎銀行が前期比1,317億円増の2兆3,192億円(+6.0%)となり、親和銀行の189億円増の2兆2,754億円(+0.8%)を抜いて、第7位に躍進している。

<表から見えるもの>
・第1位は福岡銀行で、前期比3,001億円増の9兆4,245億円(前期比+3.3%)。第2位は西日本シティ銀行で、前期比4,333億円増の7兆7,633億円(前期比+5.9%)。西日本シティ銀行が増加額及び増加率で福岡銀行を大きく上回り、善戦しているのが分かる。

・比率では北九州銀行が大きく伸ばしている。前期比+9.2%の9,774億円(前期比+826億円増)。そのうちCD(譲渡性預金)(が1,095億円(前期比+462億円)。金利の高いCDを取り込んで、何とかオーバーローン(貸出金残高9,551億円)を避けた格好だ。CDを除くネットの預金増加率は4.4%。他行とは違って、まだまだ預金集めに苦労しているようだ。次に長崎銀行が+6.6%の2,518億円(前期比175億円増)と続く。

・ふくおかFG3行(福岡・熊本・親和)の単体預金合計は、13兆290億円で、地銀トップの座を維持した。しかし、今年4月1日に横浜銀行と東日本銀行が経営統合し、コンコルディアFGを設立。横浜銀行と東日本銀行の16年3月末の預金合計は、14兆7,713億円であり、今期は地銀トップの座を明け渡すことになりそうだ。ただ、ふくおかFGは、17年4月をメドに十八銀行と経営統合することで合意しており、十八銀行の預金残高(16/3月末)を加えると15兆5,226億円。来期以降、再び抜き返せる数字ではあるものの、今後、地銀トップの座を巡って、厳しい競争が繰り広げられることになると考えられる。

・肥後銀行と鹿児島銀行が経営統合して発足した九州FGの預金残高(単体合計)は、7兆8,372億円で、西日本シティ銀行を739億円上回っている。ただ西日本シティ銀行は長崎銀行を100%子会社にしており、合わせると西日本シティ銀行グループ(以下G)の預金残高は8兆151億円で、九州FGを1,779億円上回っている。したがって、グループとしては第1位ふくおかFG、第2位西日本シティG、第3位九州FGとなる。

・西日本シティ銀行は今年10月を目処に持ち株会社西日本FG(仮称)への移行を予定している。そのため今後の戦略として、グループに属していない九州地銀、特に第2地銀を糾合し、ふくおかFGを追撃していく体制を構築していくことが予想される。

(つづく)
【北山 譲】

hyou1

 
(2)
(4)

関連記事