2024年12月25日( 水 )

九州地銀(18行)の決算を検証する(5)

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2.貸出金残高について(2)

 九州地銀のフィナンシャルグループ(FG)は、現在ふくおかFGと九州FGの2つだが、今年10月に西日本シティ銀行が株式移転による持ち株会社設立を予定しており、3FG体制となる。

(1)ふくおかFG
 十八銀行が来年4月に、ふくおかFGに加わる。ふくおかFGは、福岡銀行、熊本銀行、親和銀行、十八銀行の四行にとどまらず、さらに経営統合に参加する銀行を増やそうとしているようだ。

(2)西日本FG(仮称)
 西日本FGに参加するのは、西日本シティ銀行と長崎銀行の二行。また緊密な関係にある豊和銀行など、主に第二地銀をターゲットに勧誘を進めていると見られる。

(3)九州FG
 昨年10月に九州FGは誕生したが、今期に入ったばかりの4月14日に熊本地震が発生。被害は熊本県内全域に及んでおり、今後の経営戦略に遅れが出ることも予想される。

<表から見えるもの>
◆銀行別で見ると、貸出金の増加額トップは福岡銀行の4,973億円増で、8兆2,606億円(+6.4%)。初の8兆円台乗せ。1年で宮崎太陽銀行の貸出金(4,678億円)を上回る増加額となっており、その強さが目を引く。
・第2位は西日本シティ銀行で、2,933億円増の6兆4,519億円。ただ福岡銀行との差は1兆8,087億円となっており、追撃するには厳しい状況にある。
・第3位は鹿児島銀行で、1,819億円増の2兆8,643億円。第4位は肥後銀行で1,419億円増の2兆8,309億円。九州FG内で鹿児島銀行が逆転しており、経営の主導権にも微妙な変化が生じるることになりそうだ。

◆3グループで見ると、第1位はふくおかFG。社長を派遣するなど親密な福岡中央銀行を加えると、貸出金残高は12兆7,022億円(前期比5,878億円増)。
・第2位は西日本FGで、提携行の豊和銀行を加えると、貸出金残高は7兆892億円(前期比2,967億円増)。
・第3位は九州FGで5兆6,952億円(3,238億円増)。増加額では西日本FGを301億円上回ったものの、その差は依然として大きなものがある。

◆シェアを見ていただきたい。九州地銀(18行)の総貸出金残高に対するふくおかFGのシェアは38.4%。次が西日本FGの21.4%で、九州FGは17.2%。両FGのシェア合計は38.6%であり、ふくおかFGが絶対的な優位に立っているのが分かる。

 西日本FG及び九州FGにとって、経営統合に加わる銀行を如何に増やすかが、今後生き残るための大きな鍵となりそうだ。

(つづく)
【北山 譲】

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