杭打ちデータ偽装 福岡市公表の施工件数に重大な疑義(2)~杭の種類で食い違い
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福岡市発注工事における旭化成建材の施工件数が市の公表数と異なることが発覚した。市の発表では、過去10年間に同社が施工に関与した件数はわずか1件。しかし、データ・マックスの調査では過去3年間で、市が発表した件とは別に、少なくとも3件の施工実績が確認された。この食い違いは、なぜ起こるのか――。
福岡市発表資料、および市への直接の聞き取りから、旭化成建材の福岡市内での施工実績は過去10年間で、公共・民間合わせて計20件と確認した。これらの数値は国交省が旭化成建材に対し、全国での施工件数を報告させたもので、報告を受けた国交省が福岡県を通じ、福岡市に情報提供したものだという。福岡市住宅都市局建築指導課にも確認したが、市は独自調査を行っていない。データ偽装を行った旭化成建材の報告を、疑うことなく公表しているのだ。
データ・マックスでは、過去3年間の一部の公共工事についての施工体系図を確認。杭打ち工事で、旭化成建材がいずれも3次下請けとなっていた工事を3件確認している。
旭化成建材の報告件数と、施工体系図が示した件数が食い違っている。これについて、旭化成建材の親会社である旭化成に問い合わせた。以下、広報とのやりとり。
――福岡市公表の過去10年間の施工件数は公共1、民間19の計20件で間違いないか。
広報 弊社の調査報告をもとに、福岡市が発表されたものだから、間違いない。
――データ・マックスでの調査では、福岡市の公共工事で過去3年間で、少なくとも3件確認できたが、確認漏れではないか。
広報 報告件数は(問題となった)横浜のマンションで採用されたものと同じ、もしくは同様の杭で旭化成建材が施工に関与した件数である。
――横浜では、既製コンクリート杭が打たれている。つまり、その他の杭ではこの報告件数に入らないのか。
広報 入らない。御社が他に確認したという施工では、杭の種類が違うのではないか。
――では、その3件の工事名を挙げるので、杭の種類を教えて欲しい。
広報 個別の案件については答えられない。施主にお問い合わせいただきたい。
一連のやりとりから、報告された施工実績がすべてではないことがわかった。最終的には、全国で3,052件の施工件数を報告しているが、この数字は既製コンクリート杭での施工を数えたもの。純粋な意味での「施工」件数は報告されていないのだ。なお、このやりとりの後、福岡市に別に発覚した3件で使用された杭の種類を確認。市はいずれも「鋼管杭だ」と回答している。
改めて、旭化成建材の発表を確認してみよう。昨年10月20日の発表資料に「他物件の対応について」という記載がある。ここで、「調査委員会にて、過去約10年間の既製コンクリート杭工事の施工データを収集し、データ転用等の有無を確認してまいります」とあり、たしかに杭の種類を限定している。データ偽装が発覚した横浜のマンションと同様の既製コンクリート杭を用いた件数を調査する――もっともな主張かもしれないが、これは素人を欺く手法。他の杭での偽装はなかったのかという疑問は、解消されていない。そもそも、偽装ができない工法が存在するとは思えない。
事実、業界関係者はこう語る。
「偽装に杭の種類は関係ない。どんな杭でもごまかしは可能。不正もいろんな方法がある」。
やはり、杭の工法を限定して調査するのではなく、施工に関与した実数を調査・報告すべきなのだ。なぜ杭の種類を限定したのか、その理由は報告書に含まれていない。(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
・「ゼネコンは全部知っている」~専門家が語る旭化成建材のデータ偽装(前)
・「ゼネコンは全部知っている」~専門家が語る旭化成建材のデータ偽装(後)関連記事
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