カインズ鶴ヶ島店訪問記~新しい発見の連続(後)
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ホームセンターに飲食テナントが複数入居するフードコートがあること自体が新鮮だが、記者が訪れた平日の午後3時過ぎは、主婦やお年寄りらの集まりが見られた。どうやらホームセンターへの買い物目的で来る人たちではない様子。フードコートでアイスクリームや飲料などを片手に、楽しく談笑している。九州ならば大型の複合施設のフードコートで見られるような光景で、ちょっとした市民の憩いの場となっているようだった。
「カインズ鶴ヶ島店」の別棟にはプロ向けの資材館があるほか、オイルおよびタイヤ交換、車検などを手がける「カインズオート」も設けられている。店内は資材、雑貨が豊富に品ぞろえされていることもさることながら、新しいライフスタイルを提案するセレクトショップ「trouverie」(トゥルーベリー)もある。これはネット通販からスタートしたが、好評につき、実店舗でも導入されたようだ。
また、店舗の片隅にはJAいるま野の農産物直売所「カインズ産直市場」があり、埼玉県産の野菜や加工食品、切り花などが販売されている。店内は広いが各売場に個性があり、回るのが楽しくなる。商品を買う場所から、楽しい時間を過ごす場所へ、いわゆる「時間消費型ホームセンター」という新たなかたちを追求していることが、実際に店舗を訪れてみるとすぐにわかる。
カインズの土屋裕雅社長は今年2月、福岡市内で行われた福岡新宮店の出店説明会の場で、「周辺の競争は激しいが、競合店のない地域はない。カインズらしさを出せば勝ち残れる」と九州進出の意気込みを述べていた。テレビ番組などで取り上げられる便利グッズにみられる話題づくりの巧みさもあるが、同社の施策はネット通販が台頭するなかで、ネット通販と実店舗が今後、どのようにすれば成長を続けられるかというのを考えていることがわかる。
来年開業予定の熊本・宇土店は店舗面積が8,000平方メートル台と福岡新宮店と同規模となるため、鶴ヶ島店のような業態にすることはできない。今後、九州の地で出店していくにあたり、鶴ヶ島店と同規模の店舗を開設することになれば、同業他社にとって脅威となるのは間違いない。
(了)
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