異色の金融再編、山口FG設立の影にいる90歳相談役(2)
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90歳という高齢でありながら、今も相談役として山口銀行本店に送迎車で通勤し、頭取よりも広い個室で勤務している田中耕三氏。今なお山口FGのトップ人事に影響力があると見られているが、その地位は、いかにして手に入れたものなのか―。
組合対策で入行
「田中さんは気配りがあって、行員の間でも信望の厚い人でした。『人事の田中』と呼ばれていました」(OB)。田中氏は海軍兵学校出身。戦後、慶応義塾大学院に入学。卒業後は銀行ではなく、日立製作所に入社した。しかし、戦後の高度経済成長とともに増加した労働争議を受けて、布浦頭取が「組合対策のエキスパート」と評されていた田中氏を知人に紹介され、山口銀行に迎え入れたという。
総務部次長となった田中氏は、布浦頭取の期待に応えるかたちで労働組合を結成した。組合出身者が役員へ出世するコースを設け、経営サイドのコントロール下に置く。田中氏がつくったのは、いわば「御用組合」である。中途採用の田中氏だが、組合の人事権を掌握したことで次第に行内における影響力が高まっていった。「田中氏の後押しを受け、高卒出身で組合委員を経て役員になった人もいた。そういう者や、保身を図る役員もまた田中シンパになっていった」(OB)。
こうして山口銀行内に一大勢力を築いていった田中氏だが、「驕れる平氏」となってしまったのか、”後の火種”を自らつくってしまう。「田中さんは、ある保険会社の女性外務員の後ろ盾となって、行員や企業への営業に融通を利かせたんですよ」(OB)。その女性外務員は田中氏と旧知の間柄。過去にどのような関係があったかは定かでないが、田中氏の威を借りて、どんどんと契約をとっていったという。田中シンパの行員にとっては、忠誠心を見せる手柄稼ぎのチャンスになった。そして田中氏は92年に頭取の座に就く。
(つづく)
【山下 康太】<COMPANY INFORMATION>
(株)山口フィナンシャルグループ
代 表:福田 浩一
所在地:山口県下関市竹崎町4-2-36
設 立:2006年10月
資本金:500億円
経常収益:(16/3連結)1,655億400万円関連キーワード
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