2024年11月16日( 土 )

【提案】東亜大学学園廃校のお奨め(10)

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  東亜大学の窮状は学生確保の困難性だけに由来するものではないのである。未精算となっている過去の失敗による負債を含む固定負債は2015年3月期で40億円。サンロード跡地への投資が重くのしかかっている。財団への残債は交渉が続けられており、計画に基づき返済が行われている。しかし、少し考えるとこれは妙な話なのだ。金融に詳しい人物は次のように語った。

money 「要するに国(財団)からの借金を、国からの補助金で支払うような構図になっているのではないか。東亜大学には毎年1億4,500万円もの国庫補助金が出されている。このお金も大学の収入となるのだから、国からの借金を国からの補助金で時間をかけて返していっている状態とみることもできる」

 サンロードの後始末を国がやっていると指摘しているのである。支払利息(財団への支払い利息以外も含む)は年間約4,000万円なのだから、こう言われても仕方がない。国からの借金を国が自ら払っている構図と捉えれば、サンロードの後始末を東亜大学が引き受けたかたちは実によく考えられたものだともいえる。しかし、それはあまりにも納税者をバカにしたやり方ではなかろうか。

 2017年には返済額が増大することから、新たな一手として外国人留学生確保へと動いたと考えられる。別科の併設は苦境を脱する一手として2016年4月から導入されているが、その別科を担当する人物について一部で物議を醸している事実もある。東亜大学と協力関係にあった、留学生確保に強みをもつ法人から要となる人物を、法人代表に何の相談もせずに引き抜いたのだ。法人代表は手のひらを返されたと憤っている。職業選択は個人の自由ではあるが、礼節を尽くしたうえで移籍させるのと、突然に引き抜くのでは道理として納得いかないとしているのだ。

 今後、一般的な話として学生確保はますます難しくなる。留学生確保を一筋の光明としているが、それがうまくいく保証はどこにもない。補助金が収入うちの約1割を担っているが、そもそも、私立大学の補助金は日本人の学業水準を向上させるためにあるのではないか。日本人確保の壁にぶち当たったら、外国人を確保すればいい、という考え方には違和感を覚える。
 自らの収入で経営ができない私立大学を今後も継続させていく意義はどこにあるのだろう。東亜大学には廃校をお奨めする。

(つづく)
【特別取材班】

 
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