更生計画終了間近、復活を目指す老舗企業・アサヒコーポレーション(5)
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好調な販売の「快歩主義」。業績を支えるヒット商品
1996年12月期には約673億円の売上高を計上していた同社だが、売上高は減少傾向となり、2015年12月期では106億円までに落ち込んでいる。だが、それは、再建計画の一環で以前の“売上高主義”からの脱却を掲げ、利益確保を中心とした事業方針に転換したためだった。商品開発も手を広げすぎるのを避け、市場の動向をじっくりと行った。
これまでも子ども靴などを多く手がけてきたが、オリジナルに欠けこのジャンルは競争が激しい、しかも利幅が薄い。どこかに商品つくりのヒントがあるはずと知恵を絞った結果、シニア世代が満足する靴が少ないことがわかった。これからは、少子高齢化が進み、シニア世代が増加する。シニアが満足する靴をオリジナルでつくれば売れると踏んだ同社は「快歩主義」ブランドを2000年に立ち上げ、その後生産に踏み切った。
発売当初はスローペースの販売であったが、口コミで評判が広がり、リピーターも増加。現在では累計750万足を突破した人気商品である。目標は年間100万足だ。再建途中の同社を救った商品と言っても過言ではないだろう。同社のオリジナルの商品であることから過当な価格競争に巻き込まれることもなく、安定した利益を生み出すことができる。
この快歩主義シリーズの特徴は、徹底的にシニアに特化した靴であり、異形マジックテープを用いてデザインと履きやすさを両立していることが挙げられる。つま先も数ミリ上へ向けており、つまずきやすい高齢者の転倒対策も施されている。さまざまな色の商品があるなど、ラインナップも豊富に取り揃えてある。一方、生産に関しての「選択と集中」であるが、同社は今まで中国を中心としたアジアで生産を行い、そこから輸入して販売を行ってきた。安い労働力を背景に海外工場の生産にシフトしていたが、それを今、国内生産にすべて切り替えようとしている。
国内生産100%と流通システムを一元化で市場に対応
14年12月期においての国内生産比率は約54%で、現在は約62%に増加。16年12月期では80%まで引き上げて、古くなった生産機械を買い替えて新たに設備投資を図り、将来は100%の国内生産にシフトする予定だ。海外生産における賃金の上昇、為替の問題だけではなく、同社が提唱する国内生産だと『小回りが利く』という大きなメリットがあるということ。
以前、東京で大雪が2回観測された。1回目の降雪の時点で関東圏の長靴の在庫がなくなった後、天気予報で2回目の雪がまた降ると予想された。このとき同社は国内工場で長靴のフル生産を行い、数日で関東圏に届けた。もちろん、読みは当たり長靴は大いに売れたという。海外で生産していれば、こんな迅速な対応はとれなかった。また、この成功には、同社の流通システムを一元化して、久留米の流通センターから全国津々浦々数日で届けるシステムを確立していたことも大きく貢献している。
倒産という苦境を乗り越えてきた同社。今年12月には更生債権の支払いが終了する予定だ。これらの新生アサヒコーポレーションとしての活躍を期待したい。(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:佐藤 栄一郎
所在地:福岡県久留米市洗町1
設 立:1918年6月
資本金:8億4,000万円
業 種:ゴム履物製造関連記事
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