2024年12月24日( 火 )

ロッテ捜索の真相(中)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 捜索以外にも、ロッテでは立て続けに悪いことが起こっている。今起こっていることは、お家騒動がきっかけになり、暗部が露呈した面もあるし、成長の過程で蒔いた種が原因になっている側面もある。

 まず、ロッテグループの総合商社であるロッテ物産のノ社長は11日拘束された。ノ社長はロッテマートの本部長と社長を歴任した人物であるが、在任中に販売した加湿器の殺菌剤の安全性の検査をおろそかにし、16名の死者を出したことで、その責任を問われている。韓国では加湿器に細菌が繁殖するのを防ぐため、加湿器の水に殺菌剤をいれているが、殺菌剤の有害成分が問題になり、数十名が死亡し、大きな社会問題を引き起こしている。ロッテマートでは、そのような殺菌剤のPB製品を製造・販売していたが、それが大きな事件に発展している。

sora ノ社長はロッテワールドタワーの最終決裁権者でもあり、ノ社長が拘束されることによって、今年の年末に完成を予定していたロッテワールドの完成に、支障が出るのではないかという懸念も浮上している。それに、韓国ロッテグループの持ち株会社に当たるホテルロッテも、年度内の上場を検討していたが、これも13日にホテルロッテは上場撤回を申し出ていることが明らかになった。

 不幸はそれだけで終わらない。ロッテワールドタワーの免税店は、去年11月に免許を取り消されて、再承認を待っているところである。しかし、万が一、今回の捜索で悪影響が出て、免許が取れなくなるのではないかと、ロッテでは戦々恐々している。なぜかというと、免税店の売上高は年間6,000億ウォンほどあって、これはホテル全体収入の84%を占めているようだ。この売上を失うことになると、ホテル事業は業績悪化に陥るのは、火を見るより明らかだからだ。

 ロッテグループの強みは、何と言っても、流通であるが、免税店だけでなく、最近ロッテホームショッピング(日本のテレビショッピングに当たる)も不祥事に見舞われている。ロッテショッピングは入居企業からリベートを受け取ったことが問題になり、プライムタイムの6ヶ月間の放送禁止処分を受けている。この処分によって、6,000億ウォンくらいの売上減少が予測されていて、ロッテグループは泣き面に蜂である。

 検察当局による捜索を開始しただけで、悪い結果が出ているわけでもないのに、市場では事業への悪影響を見込んで、すでにいろいろな形で悪影響は出始めている。

 韓国の株式市場でロッテグループの株価は、軒並み下落している。ロッテグループの上場会社の数は現在9社で、時価総額の合計額は、今月10日には24兆2,319億ウォンであったが、1日にして1兆2,122億ウォンも蒸発するなど、株価にも影響が出始めている。捜索の結果次第では、ロッテグループの格付けも下げられ、財務体質の弱体化と債務返済能力の減少を招きかねない状況になるかも知れない。実際、ロッテ物産とロッテ七星飲料は社債の発行を見送っている。ロッテグループの規模が大きいだけに、悪いことに対する厳しい対応を望む反面、下請け会社など関係企業への被害を心配する声があるのも事実である。

(つづく)

 
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