2024年11月23日( 土 )

COMPUTEX 2016~「これ、使ってみませんか!」(中)

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新しいものを出し、色々な知見を頂いて、切磋琢磨する

 ――前回は台湾・台北の印象をお聞きしました。今回はCOMPUTEXの印象をお聞かせいただけますか。

 森山 まだ会期半ばですが、3日間、2つの会場(台北世界貿易センターと南港展覧館)を回りました。従来のハードウェア・ソフトウェアなどのコンピュータ展示会と違い、それぞれの会場で少しずつ社会に訴えかけるようなベンチャーが出てきているという印象を受けました。NECソリューションイノベータは、外から見ると、とても図体の大きな組織のように見えますが、新たな事業にチャレンジする面においては、まさにベンチャーの集まりのような若い会社です。
その意味では、COMPUTEXのような場で、完成品にはまだ遠くても、新しい技術・面白い技術を披露しながら、さらに色々な知見を得て、切磋琢磨することはとても重要であると感じています。

「何、それ?」と思わせることが必要だと感じています

会場内出展ブース<

会場内出展ブース

 神山 私は前職において、アメリカ・ラスベガス、そして東京や横浜での出展経験があります。その経験から言わせていただくと、COMPUTEXは「アメリカと日本の展示会を合わせたようなもの」という印象を持ちました。ブースの看板やブース内のパネル、パンフレットなどの文字が少なく目立たないのです。パネルが説明文で埋まっている、パンフレットが詳細に書かれているのは、日本関連の出展ブースに多い傾向だと思います。
 文化の違いもあると思いますが、「外から見るだけでは、何をやっているのか分からない」から、ブース内に入って来るわけです。逆に、日本のブースの場合は、説明文が豊富なので、バイヤーなどは、それを読んで、自分で勝手に納得して素通りしていくことが多いと思います。本来、展示会は見せて終わりでなく、「何、それ?」と思わせることが必要です。そこで初めてコミュニケーションが生まれ、ビジネスにつながっていくのだと思います。
 一方で、今回、ゲームのエリアなどで多く見られた女性コンパニオンの起用は、日本の展示会に似ていますね。私の知る限り、アメリカ、ラスベガスなどではあまり見られません。

コンパニオンを立たせ、名刺だけを集めて満足?

 清水 今のお話は、面白くまた鋭い指摘です。私も同感です。日本の展示会ではブース前に綺麗なコンパニオンを立たせ、名刺だけ集めて満足しているケースが多いですね。COMPUTEXはその点では真逆とさえ言えるかも知れません。今回の「InnoVEX」(※)エリアはその典型ですが、COMPUTEXでは全般的に、実際に開発した技術者がブース内に陣取り、一所懸命に応対しています。

最先端技術が、ビジネスとして動き始めるときに登場!

 金城 私は、来台する前は、実証レベルであっても最先端の技術を見ることができると思い込んでいました。しかし、その期待は裏切られました。会場で多く見られた3DプリンターやAR/VRは2、3年前の最先端技術です。今は、「市場で受け入れられるようになった最先端技術が、ビジネスとして動き始めるときに登場するのがCOMPUTEX」と教えていただき、その観点から見ていますが、最初は少し違和感がありました。

 清水 COMPUTEXの基本は、177カ国から40,000人を超えるバイヤーが来場することで証明されているようにビジネス・マッチングです。しかし、会期中に開催される講演会、セミナーなどでは、世界最先端の技術も披露されています。今年、新たに設けられた「InnoVEX」エリアでは、ベンチャー企業が新しい技術を披露しています。

レベルの高いピッチを聞く機会もありました

 森山 確かに先生のおっしゃる通りだと思います。しかし、その「InnoVEX」エリアも最先端技術でなく応用技術です。それはCOMPUTEXに問題があるのではなく、すでにコンピュータの世界は、ある意味で成熟しているので、その競争の多くは応用技術になっていることに起因しているとも言えます。

 その観点から、「InnoVEX」エリアはとてもおもしろかったです。講演会やセミナーでは、最先端の話が聞けたし、ピッチコンテスト(短い時間で自社の製品やサービスを紹介する催し。主に、ベンチャー企業が自社の魅力や将来性について投資家に売り込み、資金を獲得することを目的とする)を聞く機会があり、レベルがとても高いと感じました。東京の国際的な展示会でも、英語であれだけレベルの高いピッチを聞くことはほとんどありません。
 国吉 日本国内の展示会では、パネルを用意し、製品を陳列し、パンフレットを配布するやり方が多いと思います。私は、海外の展示会はあまり経験がありませんが、COMPUTEXの展示はとても凝っている印象を受けました。玄関用のIoT機器を実際のモデルハウスで説明していたことが印象に残っています。

(つづく)
【金木 亮憲】

※「InnoVEX」エリア:COMPUTEX2016で新たに設けられたエリア。ベンチャー
企業による「イノベーション技術」が展示された。エリア内では最先端の講演、セミナーや「ピッチコンテスト」も行われた。

 
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