マンガ・アニメの動きが全国の自治体で拡大・加速!(前)
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2020年「東京オリンピック・パラリンピック」に向けて、全国の自治体で「文化プログラム」の代表として、マンガ・アニメの動きが活発化してきた。
6月18日(土)には、アニメの聖地・豊島区池袋で2つの大きな催しがあった。1つは第7回「トキワ荘フォーラム」(主催 NPO法人 日本マンガ・アニメトキワ荘フォーラム)であり、もう1つは第6回「全国マンガ・アニメ活性化連絡会」である。第7回「トキワ荘フォーラム」
6月18日(土)の午後6時から、豊島区生活産業プラザ8階多目的ホールで、第7回「トキワ荘フォーラム」が開催された。今回は豊永ひとみ氏(上田トシコ作『フイチンさん』アニメ化のプロデューサー、(株)エクラアニマル代表取締役)を聞き手に、村上もとか先生のトークショーが行われた。村上もとか先生は『龍‐RON』や『仁‐JIN‐』などの代表作で、今を時めく人気漫画家である。70名を超える参加者はその話に聞き惚れ、トークショー終了後もサイン会などで先生との親睦を深めた。
今、村上先生は、日本を代表する女性漫画家の1人である上田トシコ(※)の半生を描いた『フイチン再見!』を小学館コミック『ビッグコミック オリジナル』に絶賛連載中である。トークショーは、前半と後半とに大きく2つに分けて展開された。
前半では、村上もとか先生の代表作「『龍‐RON‐』や『仁‐JIN‐』に関する秘話が披露された。(以下、抜粋)
豊永氏 『龍‐RON‐』の主人公の押小路というのは変わった名前ですが、由来はどこからですか?
村上氏 京都には押小路男爵家は実在したらしいのですが、由来は母の主治医の先生の名前です。とてもハンサムで、母が慕っていたものですから…。
豊永氏 先生は『六三四の剣』や『龍‐RON‐』など剣道を題材にした漫画を描かれています。しかし、先生ご自身は剣道にはあまり詳しくないともお聞きしますが…。
村上氏 まったく剣道のことを知らないと大きな間違いをしてしまう可能性もあるので、『六三四の剣』の連載を開始するときはアシスタントの漫画家さんと一緒に、約6カ月は近所の小学校で竹刀を振りました。父兄の皆さんとも仲良くなりました。
しかし、稽古が終わった後、父兄の皆さんは「ビールで一杯!」ですが、私は徹夜で仕事なので、体力的に続かず、基礎の基礎を学んだ6カ月で断念しました。豊永氏 日本の編集者と作家は、堅い絆で結ばれていると言われます。その面白いエピソードを聞きました。『仁‐JIN-』20巻の最後の部分に出てくる2つの脳のMRI画像は、先生の脳と編集者の方の脳の実際のMRI画像というのは本当ですか?
村上氏 本当です。龍馬と仁の脳のMRI画像ですが、龍馬の脳のMRI画像が編集者の方のもので、仁のMRI画像は私のものです。
後半は、少女漫画の黎明期に活躍した日本を代表する女性漫画家の上田トシコの話が主であった。現在、村上先生は上田トシコの半生を描いた『フイチン再見!』を小学館コミック『ビッグコミック オリジナル』に絶賛連載中である。豊永氏は『フイチンさん』アニメ化のプロデューサーとして、晩年の上田先生と一緒に仕事をしている。会場のスライドでは秘蔵写真が披露され、秘話が語られた。
豊永氏 上田トシコ先生の半生を描こうと思った動機は、どのようなものですか?
村上氏 いくつかあります。私は6人兄弟の5番目で、上に姉が3人おり、家のなかには少女漫画・雑誌が絶えずありました。また、向かいの家には1つ下の遊び仲間の女の子がいて、彼女の家に遊びに行き、その姉さんの漫画・雑誌を読んだ時に初めて『フイチンさん』に出会った記憶があります。
時が経って、私が弟子入りした漫画家の望月あきら先生(『サインはV!』や『ゆうひが丘の総理大臣』などの作品で有名)の快気祝いで偶然に上田先生をお見かけし、素晴らしく洗練された魅力的な方と感じました。その後、『龍‐RON‐』の取材で昔のハルピンや満州のことを聞くために、再び編集者と一緒に上田先生にお会いする機会がありました。そのとき以来、いつか上田先生を主人公にした漫画を描いてみたいと思うようになりました。
上田先生は、私の母とほぼ同い年です。日本では、女性が男性より一段下に置かれていた世代です。しかし、上田先生はハルピンで欧米人に囲まれて育ったので、日本に帰国してからはとても窮屈だったと思います。当時のハルピンは、東洋のパリと言われた華やかな多民族都市で、女性が男性と対等に何かやるのは当たり前だったからです。
『フイチン再見!』の再見とは、「さようなら」という意味です。私はこれを描き上げて、自分として上田先生に、本当の意味でのお別れを言おうと思っています。(つづく)
【金木 亮憲】※上田トシコ氏
少女漫画の黎明期に活躍した、日本を代表する女性漫画家の1人。代表作にハルピンを舞台にした『フイチンさん』などがある。同作品は2003年に、あにまる屋製作によるアニメ映画が公開され、15年には小学館から復刻愛蔵版が出ている。
第5回小学館漫画賞受賞(『フイチンさん』、1960年)、日本漫画家協会賞優秀賞(『あこバアチャン』、1989年)、著作権法100年記念会より、特別功労者文化賞(1999年)、日本漫画家協会賞文部科学大臣賞などを授賞。関連キーワード
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