韓国発断熱革命!発泡ポリウレタンに新技術(2)
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紆余曲折を経て、金社長が率いるリード社は冷凍システムを完成させてしまった。エンジンとは別に小型高性能の発電機を用いて電気を起こし、冷凍機を動かす。世界中で主として用いられている機械式の冷凍車とは違い、世界でもマイナーな電気式のシステムを組み上げたのである。機械式冷凍車とは、メインの駆動用エンジンを用いて冷気を生み出す方法で、エンジンを止めると冷気も止まってしまうためエンジンを回し続けなくてはならない。一方、電気式冷凍車は駆動用のエンジンとは別の発電機で電気を生み出し、それを冷凍機に用いる。それゆえ自動車の速度や停車・発車のような変化と関係なく一定に温度を保つことができる特徴を持つ。金社長たちは電気式冷凍システムで世界に売り出そうと夢を描く。
ところが冷凍システムの開発だけでは十分ではなかったのだ。現在の冷凍車の仕組みでは、冷気がどんどん外に漏れ出てしまうのである。いわゆる冷凍車の“箱”の問題だ。調べてみると、さまざまなことがわかった。まず、箱に用いられている断熱材の基本的な性能が低い。次いで断熱材とつなぐ接着面から冷気が漏れ出している。そういった問題を確認したのである。そこで断熱材の研究を行うことになるが、調べると難しい問題が山積していることがわかった。
断熱材には、主に発泡ポリウレタンが用いられている。発泡ポリウレタンとは値段が高めのクーラーボックスなどにも用いられている断熱材で、ポリウレタンにガスを混ぜて発泡させるもの。ポリウレタンのなかの無数の空気の層が断熱効果を生み出す。冷凍車やクーラーボックスなどだけでなく、建物にも用いられている。その発泡に用いるガスが問題だったのである。
地球温暖化とオゾン層の破壊――。従来用いられていた発泡のためのガスは、その問題が大きかった。それゆえ、環境を破壊してしまう可能性があるとして、使用禁止になるものもあった。あるアメリカの企業がこの問題に向き合い、環境負荷の極めて小さいガスを開発したのだが、いかんせん、その値段が高いというネックがあった。金社長たちはガスではない方法で、安価で、高性能な断熱材をつくることはできないかと思案をめぐらせることになる。
そこで出会ったのが、同じ問題を研究し続けていたイ・ソンホン博士。ソウル大学化学工学科を卒業し、バージニア工科大学で博士号を取得した人物だ。現在は、リード社の研究所所長として活躍している。このイ氏とのめぐり合いが同社の新技術、水発泡ポリウレタンを生み出した。
(つづく)
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