2024年12月24日( 火 )

ビタミンCの美容への効果(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 これまで、ビタミンCの素晴らしい効果について述べてきたが、弱点についても触れて置かなければならない。端的に言えば、ビタミンCは水に溶けやすいことに加え、酸化されて破壊されやすいという弱点がある。熱、空気、光によって酸化されるため、天然ビタミンCを直接利用することは困難なのである。

 しかしながら、韓国の株式会社「TS MED」は、10年間におよぶ長い研究の末に、ビタミンC誘導体をパウダー状にすることに成功。これを使って、開封後6カ月間も効果を失わない化粧品を開発し、注目を浴びている。

 もちろんその間、天然ビタミンCの諸問題を解決する方法がなかったわけではない。
 たとえば、天然ビタミンCの分子式を少し変えて誕生したのが、「ビタミンC誘導体」である。ビタミンC誘導体は天然ビタミンの親戚に当たるもので、体内で代謝される際には天然ビタミンCと同じ分子式になることが知られている。韓国の「TS MED」社の成功は、ビタミンC誘導体を活用しながら、技術を一歩前進させたものである。

lemon 現有のビタミンC誘導体の純度は、天然ビタミンCの85%程度であるが、それでも、酸化を防ぎ、天然ビタミンCの問題を解決できたことは大きな価値がある。
 もう1つの注目ポイントは、ビタミンCを効率良く真皮へ届けることにこだわった点である。人間の毛穴のサイズは、民族、性別などによって、多少のばらつきがあるものの、平均すると、100ナノメートル程度であり、水分子の方が大きいため、水は毛穴から浸透しない。この現象を参考に、ナノーコーティング技術を適用することにより、ビタミンCを毛穴のサイズより小さいサイズにすることを実現し、真皮まで届くようにしている。

 同社は、「利便性は多少犠牲にしても、ちゃんと必要な場所へ届けることが大事なので、パウダー状にしている」と語る。その効果は抜群で、とくに皮膚科の先生たちから絶賛を受けるほど。
 また、「今、世の中にはエッセンスなどのビタミン化粧品類があるが、浸透率においてはどうがんばってもパウダーに適わないよ」と、同社社長は筆者に耳打ちした。
 この製品は、濃度においても現行で最高水準の濃度であるため、効果も認められ、クリニックでの採用が増えている。現在はパウダー状の商品だけであるが、顧客の要望を取り入れ、使う際にパウダーと液が混ざるような容器の採用も検討している。

 大多数の人は、ビタミンCは健康のために服用するものだと思っているようだが、服用したビタミンCは、ほとんどが体内で吸収されてしまい、肌にはほとんど効果はないとする研究報告すらある。ところが、この会社では、今まであまり肌に浸透しなかったビタミンCを美容にフォーカスを当て、画期的な化粧品を開発したわけである。ビタミンC化粧品だけで世界一を目指しているこの会社だが、今後の活躍に期待したい。

 最後に、ビタミンCには天然ビタミンCと合成ビタミンCがあるが、合成ビタミンCはそれほど健康の足しにならないことが報告されていることも紹介しておきたい。合成ビタミンCが誕生したことで、値段が安くなって、ビタミンCの低価格化をもたらしているが、いくら価格が安いと言っても、あまり効果がないとなると、考え物である。
 ビタミンCの原料のほとんどが中国製であるなかで、「TS MED」社は原料にもこだわっており、英国のDSM社製の高価で厳選された原料を使っている。このこともプラス要素であり、この会社が安心安全にも配慮していることが、高い評価につながっているのだろうと思う。

(了)

 
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