2024年12月22日( 日 )

黒幕は誰だ!?大戸屋ホールディングスのお家騒動は長期化(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

睨みを利かせる河合直忠相談役兼最高顧問

 窪田社長が打ち出した人事案には、その狙いが透けて見える。

hyo

 久実氏の側近である現場育ちの若手幹部を更迭し、外部から招いた年長者で固めた。なかでも目立つのは、いったん取締役を退いた人物が再登板したことだ。

 土橋氏は、久実会長時代にはナンバー3の副社長。14年6月に取締役を退いたが、今回再登場した。水流氏は15年6月に取締役を退任したが、わずか1年で帰り咲いた。

 今回の最大の人事は、長老の河合直忠氏が経営中枢へ復帰したことにある。河合氏は三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)の常務から2002年4月、(株)大戸屋(現・大戸屋HD)の会長に就いた。09年6月に相談役に経営の第一線から退いていた。窪田社長が主導権を握ると、15年10月に相談役兼最高顧問に就任。智仁氏が常務からヒラ取に降格した時期と重なる。
 メインバンク出身の河合直忠氏と久実氏の兄で医師の三森教雄氏が、新人事の2枚看板だ。創業家の抵抗を封じ込める狙いが、透けて見える。

 創業家側は河合氏について、「『主力行が(久実氏の)経営責任と取締役会の責任を問うてきている』と吹聴するなど、混乱の元凶だ」と不信感を募らせている。

お家騒動は長期化し、委任状争奪戦に発展か
 智仁氏側は、尻尾を巻いて引き下がるつもりは、さらさらなさそうだ。窪田社長の支持率の低さは、反撃するチャンスだ。3月に株式を相続したばかりで、準備が整わず、今回は動議を出さなかった。智仁氏側は、新経営体制について「認められない」として、9月にも臨時株主総会の招集を求める検討に入った、と報じられている(産経新聞6月24日号朝刊)。

 創業家側は、対抗する人事案などを示し、株主に改めて賛否を問う構えだ。双方による多数派工作を行う委任状争奪戦に発展する可能性が高い。“お家騒動”は長期化する様相を見せてきた。
 「大戸屋ごはん処」の新メニューに、食い合わせが悪いトッピングを乗せる「けんか丼」をつけ加えたらどうか――。

(了)
【森村 和男】

 
(前)

関連キーワード

関連記事