韓国発断熱革命!発泡ポリウレタンに新技術(5)
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リード社・金社長は韓国最大手石油会社の一社、カルテック社の出身だ。同社の財務の責任者を務めていた当時は、毎日、他社からの接待を受けていた。給与も十分にもらっていたのだが、どうにも空虚感が付きまとったという。
「自分がやっていることは人の役に本当に立っているのかという疑問を常に感じていました。額に汗して働いて人を幸せにし、その対価をもらうのが本当の仕事ではないかと感じていたのです。」(金社長)
そこで家族に相談し、社を辞すことを決めた。リスクのある独立に対して家族は「あなたの思うようにやればいい、私は全面的に応援する」と後押ししてくれたという。そして取り組んだのがベトナムでのアカシアの植林である。ベトナム戦争で荒廃したベトナムの国土にパルプの原料となるアカシアを植えていく。ベトナム国土を整え、雇用を生み、先進国に製紙原料を販売することで利益を得る。そのビジネスモデルを構築していった。日本の大手製紙会社にも販売していたという。ビジネスモデルは成功したが、アカシア林の規模が拡大していくにつれて国の監視が強くなっていった。結局、韓国林野庁は「個人の手に任せておくには広大すぎるアカシア林」として、没収するかのようにアカシアの林を買い取っていったという。その売却で得たお金を元手に立ち上げたのがリード社だ。
ウォールコントローラー事業を開始したが、やはり空虚感にさいなまれたという。この仕事は本当に人の役に立っているのか。この疑念をどうしても拭い去りたかったのだ。そう考えているところに冷凍車の開発相談がきたのである。人の幸せに貢献したい思いから開発に取り組み、製品化に成功した。利益を追求するだけならば、ウォールコントローラーの韓国トップ企業として君臨しているだけでよかったのだが、そうさせなかったのは金社長の仕事への思いがあったのである。
すでに韓国では納入実績が数多くある断熱材技術と冷凍システムだが、これからは日本で販売していきたいとしている。金社長は日本に強いあこがれをもっていると語る。
「日本へは何度も訪れたことがあります。震災前に熊本へ行きました。熊本から大分へ行ったのですが、その道中の景色の美しさに胸を打たれました。また、景色もすばらしさだけでなく、日本人の皆さんの心の美しさにも感動しました。どこへ行ってもマナーがよく、たとえばごはん茶碗に米粒ひとつ残さないなど、すべてのものに感謝する姿勢を感じました。こんな国との方々と一緒に仕事をしたい、と強く願うようになりました」(金社長)人の役に立ちたいという思いが実現させた水発泡ポリウレタン技術。必ず人の役に立つという自信とともに、リード社は世界へ羽ばたこうとしている。
(了)
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