収まらない余震。国からの支援を求めていく~熊本県(1)
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熊本地震の余震は収まらず、熊本県の復旧復興は困難を極めている。とくに阿蘇山周辺では、生活道路が地震による斜面崩落などの被害により、至るところで寸断された。復旧工事には高度な技術力が必要であることから、初めて大規模災害復興法に基づく国による代行復旧事業が実施されることになった。いまだ被害の把握に追われる熊本県は、国の助けを受けて少しずつ復旧に向けて動き出そうとしている。
一度持ち上がってねじ曲がる
熊本地震最大の特徴は長く続く余震。4月14日の前震発生以来、5月31日までの有感地震は累計で1,613回を数える。4月28日に50回以上を記録してから減少傾向に転じたとはいえ、6月に入ってからも震度3以下の地震が日に10回前後の横ばい状態が続く。「とにかく落ち着かない」というのが熊本県の偽らざる心境だ。被害の範囲が広域にわたっているため、その把握だけで今は精一杯というのが現状だ。
地震は小さく縦に揺れる初期微動に続いて、大きな横揺れの主要動が起きる。東日本大震災のような海溝型地震ではこれら2つの揺れには時間差が生じるが、阪神・淡路大震災や熊本地震といった内陸型地震の場合はほぼ同時に到達する。実際、4月16日の本震について、被災者の多くが「ドンと下から突き上げられ、大きく横に揺らされた」と証言している。これは地震を起こしたと考えられる布田川断層のずれが、熊本市を中心とする都市部の真下にあったためだ。熊本地震の被害を考えるうえで、この前提を踏まえておく必要がある。
専門家の分析によると、熊本地震による被害の特徴は「一度持ち上げられて、捻じ曲げられたこと」という。これを裏付ける証拠が、西原村の桑鶴大橋で見つかっている。桁が浮き上がった後、橋が谷側へと水平に移動した痕跡が残されていた。同じ内陸型地震の阪神・淡路大震災は横揺れによる破壊だけだったことから、力は横方向だけにかかったと考えられる。しかし、熊本地震では縦と横の2つの異なる方向にそれぞれ違う力が加わったため、とくに本震の被害が拡大することになった。これは震源である布田川断層の北と南で地形が上下にずれ、東西では横方向にずれたという調査結果からも明らかになっている。(つづく)
【平古場 豪】※写真は熊本県提供
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