2024年11月25日( 月 )

グリーンレジリエンスで減災~国土強靭化に必要な自然資源(後)

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自然資源を活かす6つの取り組み

グリーンレジリエンス6つの取り組み グリーンレジリエンス6つの取り組み

 とはいえ「グリーンレジリエンス」の取り組みはスタートしたばかり。そんな折、今年4月に発生した熊本地震は、改めて自然の力を感じさせた。多くの家屋が倒壊し、ライフラインである道路が寸断されるなど、インフラの早期復旧が望まれている。そんな熊本地震の経験を踏まえて、新たに6つの取り組みが見直されている。

 1つ目は「ブルー・ストック」。自然の水の貯留・活用だ。被災直後は深刻な水不足が問題となった。熊本も湧き水が豊富と言われていたが、それでも水不足が生じた。避難所や家庭で雨水を貯留しておけば、トイレ用水や生活用水として利用できる。2つ目は「グリーン・ストック」。熊本地震では家庭内にたくさんの食料、周辺に樹木があるにも関わらず、うまく活用されなかった。身の回りの自然資源の活用を改めて考える必要がある。

 3つ目は「グリーン・リダクション」。熊本地震では、住宅地のブロック塀の倒壊により道路が通行困難となってしまった箇所が目立った。一方で、樹木に覆われていた土塀は崩壊しておらず、自然資源による減災の必要性を改めて感じさせた。4つ目は「レジリエンス・ネットワーク」。自然資源の活用には、地元のことをよく知る住民たちのネットワークが不可欠だ。

 5つ目は「レジリエンス・テクノロジー」。再生可能エネルギー分野ではメガソーラーなど大規模発電が市場活性化に一役買ったが、今後は小規模な分散型・自立型に軸足が移されると見られている。とくに災害時には各地域にグリーンレジリエンスを支える再エネのインフラが必要だ。そして最後が「サバイバルトレーニング」。平和な日本の現代人はサバイバル能力が著しく劣化している。日頃から防災・環境教育しておかなければ、いざというとき5つの取り組みがムダになってしまうだろう。

 コンクリートで建物をつくって再開発し、道路や橋といったインフラをつくる旧来の市場は頭打ちになってきた。もちろんそれらを維持・継続していくのも重要だが、建設業界の今後の目標として、自然資源の復活と防災・減災にこれまで培った建築技術が活かせないかを考えてみるのも、1つの手ではないだろうか。

(了)
【大根田 康介】

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