韓国経済ウォッチ~膨らみ続ける家計負債(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国経済は、過去数十年間にわたって経済成長を謳歌しており、企業も個人も、投資をすれば投資額以上の成果が期待できる時期であった。
しかし、経済が低迷している今は、環境が一変し、積極的な投資よりも、むしろ負債を警戒する時代になっている。最近、韓国経済にも低成長が定着し、わずか2%くらいの成長しか期待できなくなっている。また、造船などで一時期活況を呈していた蔚山(ウルサン)などは、深刻な不景気に悩まされている。
このような厳しい時期に起こったイギリスのEUからの離脱は、韓国経済により一層の不透明感を与えている。それに、今まで韓国経済を牽引していた造船、鉄鋼、電子などの分野は、中国の追い上げによって、成長の壁にぶつかっている。さらに、世界経済の先行きへの不安は増大していて、韓国の輸出にも陰りが見え始めている。韓国政府はこれを乗り越えるための次の成長エンジンを探しているが、まだそれが見つかっていない。そのようななかで、韓国の家計負債は膨らみ続け、世界各国の主要機関も韓国の家計負債に警鐘を鳴らしている。
韓国の2016年第1四半期での家計負債総額は、約1,223兆ウォンである。前の四半期に比べて、家計負債は金額ベースでは20兆6,000億ウォンも増加している。韓国の家計負債は、金額の大きさもさることながら、家計負債の増加スピードが速くて懸念する声も多い。
韓国の家計負債は、13年第2四半期から11四半期連続で史上最大の記録を更新し続けている。国際決済銀行(BIS)の発表によると、韓国のGDP対比の家計負債の比率は88.4%で、アメリカ(79.2%)、日本(65.9%)、ユーロゾーン(59.3%)との比較でもいかに高いかがよくわかる。GDP対比家計負債の比率では、13年連続で新興国のなかで1位になっている。韓国の家計負債比率は、1962年に1.9%で、2000年に50%で、2002年に60%であったが、直近の5年間で家計負債が急増している。アメリカのコンサルティング会社であるマッケンジーでは韓国が世界7大家計負債の危険国であるとしているし、OECDでは韓国は利子の支払いなどで内需が縮小するほど、韓国の家計負債が深刻な水準であると指摘している。
負債を返済できる能力を評価するときに、よく使われている可処分所得に占める家計負債の比率というのがある。韓国の可処分所得に対する家計負債の比率は、去年すでに163%を超えている。負債の多いアメリカの113%と比較しても、もっと高いのが韓国の家計負債である。それでは、なぜ韓国の家計負債は膨らみ続けているのだろうか――。
(つづく)
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