金融再編待ったなし~九州の信用金庫(1)
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日銀は今年1月29日に開催された政策委員会・ 金融政策決定会合において、2%の「物価安定の目標」を何がなんでも実現するため、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を導入することを決定。「ゼロ」から未踏の「マイナス」を選択した。
黒田東彦日銀総裁は、スイス・ダボスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(1月20~23日)の出席を前に、日銀スタッフに対し「帰国するまでに追加緩和するオプションを考えてくれ」と指示していたという。24日に帰国した黒田総裁に対しスタッフが用意していたのは、市場がサプライズする奇策の「マイナス金利政策」だった。
そのマイナス金利の導入から6か月近くが経過。大手銀行を除き地方の金融機関にとっては、資金利ザヤの縮小が経営に大きな影響を与えることになった。その厳しさを反映して九州地銀8行(東証)の株価はほとんどの銀行で、今も1月29日の株価から大きく値を下げたままの状態が続いている。
営業活動の範囲が県単位の地方銀行でさえ人口の減少に伴う地域経済の縮小に対応して、県境を越えた広域の金融再編を進めていかないと、生き残れない状況となっている。
しかしさらに深刻なのは信用金庫。市町村単位を営業基盤としている信用金庫業界は、今まさに「金融再編待ったなし」の厳しい事態に直面しているにもかかわらず、九州の信用金庫(28金庫)の一部には、旧態依然とした杜撰な経営とデータ管理を行なっていることが分かった。
~杜撰なデータ管理の実体~ (1)
1.高鍋信用金庫
その一例が高鍋信用金庫(宮崎県児湯郡高鍋町)。営業職員による預金の着服や横領等を含む複数の不祥事件が発生しているにもかかわらず、当局に報告しなかったことや経営陣の杜撰な経営体質を問われ、2007年6月1日に九州財務局から業務改善命令を受けている。
さらに11年9月にも職員による顧客預金の着服が発生。その翌年の12年3月には、不適切な融資を繰り返して同信金に損害を与えたとする会員代表訴訟で、元役員側が敗訴するなど不祥事が多発。そのため経営を刷新する体制を整えるため同年6月26日、新理事長に宮部文仁氏が就任。宮部理事長は現在宮崎県信用金庫協会会長も兼務している。
その高鍋信用金庫のホームページを見ていると、目にとまったのが「金庫概要」だった。下表(1)のとおり、プロフィールには、2年以上前の「平成26年3月31日現在」の預金や貸出金などの計数が、堂々と掲載されていたのだ。
(つづく)
【北山 譲】
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