2024年12月23日( 月 )

【名門・筑女の異変】上山大峻学長が辞表を提出!(後)

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理事長が強引に学長選任規定を変更

 教職員らが推薦委員を推薦しない理由について、理事会が文書での報告を求めたところ、同22日に学長が全学学科長会議の協議結果を提出。「理事長に対して文書ではなく口頭による説明を求める」「理事会に対して理事長が推薦した上位2名の候補者についての再審議を求める。従って再選挙に応じない」という理由で推薦委員を選出しないことが決議されたため、期限までに報告できなかったと説明した。

 さらに同日付で学長を含む7名の学内役職者連名による「学校法人筑紫女学園 第330回理事会における次期学長選任審議結果について」と題された報告書が笠氏に提出された。このなかで「理事会が学園の経営責任を負うべき最高意思決定機関」であり、「教職員の意思とは異なる経営判断を下さなければならないことも当然にあり得る」と認める一方、「遅くとも来年1月末までには、学長就任予定者のもと(中略)教育環境整備に向けた準備を速やかに行うために、1日も早く建設的に理事会で再審議をいただきますよう、お願いしたい」とした。教職員側は、理事会が2名の学長候補者に対して実施した信任投票の結果を認めない立場を、改めて明らかにしたのである。

 教職員の「再審議を求める」「再選挙は認めない」という主張は、理事会にとって受け入れられるものではなかった。この事態を受け、笠氏は現行規則による速やかな次期学長の選出は不可能と判断。年が明けた15年1月22日付で理事会に一連の経緯を報告し、新たな学長選任規則の制定を提案したのだ。次期学長は新規則の下で選ぶ。非常に重要な変更であるにも関わらず、新規則を審議する臨時評議会と理事会は2月5日に開催。すでに学長選出の遅れから新年度の時間割作成に支障をきたしていたとはいえ、拙速な印象は否めない。何より、教職員側との話し合いを諦め、ルールそのものを変えてしまうのはあまりに強引ではないか。

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学校法人 筑紫女学園がある大学キャンパス

 後になって、16年3月25日の第303回評議員会で、学長選任規定の策定について議論されている。笠氏は「皆さんの意見を聞きながら、理事会で決めた」とし、「数週間で制定できたのは、そのような規定作成に長けた方や他大学の類似の規定があったのでできたからであり、短期間でつくったから内容が悪いということはない」と説明。評議員の1人は「学長選任規定変更だけでなくその他のことについても、教員全体ではなく学部長だけでも良いからと説明を求めていたが、理事長からは拒否された。(中略)。理事長の主張はちぐはぐで矛盾をきたしている」と不満が述べられた。これについて笠氏は「ご心配ありがとうございます」と応じるだけで、明確な回答を避けた。

 笠氏が新たに示した選任規定では、驚くべきことに教職員らによる学長選挙の項目が削除された。しかも推薦委員会に変わって設置される選考委員会でも、教職員を委員の資格から排除。委員には理事長をはじめ、理事長が指名する理事2名、学園の役員および評議員以外の者のうちから理事長が指名する学外有識者2名など、10人の委員構成のうち理事長本人とその意向を受けた者が半数を占めており、極めて理事長の意図が強く反映されやすい組織となっている。

 反発を続けてきた教職員を、「うるさい」と言わんばかりに学長選から締め出したようにも見えてしまう。しかし、教職員たちの意志を自分たちのトップの選任に反映させないのは、同学園の建学の精神にもある「和平」に反するのではないか。「和平」について、同学園のHPには、「もしも自己中心的な価値観にとらわれて他者を軽んじたり、あるいはそれぞれの尊さを無視して自分と同じになることを強要すれば、対立と争いを引き起こすだけで、ほんとうのおだやかな世界は生まれてこないでしょう」と説明している。笠氏は理事長メッセージで「『自律・和平・感恩』の教えを固く守っていかなければ」と述べているが、何とも矛盾に満ちているように思える。

(了)

【平古場 豪】

 
(前)

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