2024年11月18日( 月 )

韓国経済ウォッチ~半導体業界に起こりつつある地殻変動(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

pc1-min 韓国で最初の半導体関連の企業が設立されたのは、1965年のことである。トランジスタとダイオードを組み立て、生産するゴミ電子産業という会社がそれである。その当時の韓国の主力産業は重化学産業であり、政府組織のなかには半導体を管轄する部署すら存在していなかった。それに電子工学科という学科も、ソウル大学以外にはなかった。そのような環境下で、翌66年11月に韓国はトランジスタを初輸出することになるが、これが半導体輸出のスタートである。
 ところが、それから50年が経過した現在では、半導体は韓国輸出品目のなかで1位を占めるようになった。77年の半導体輸出額は、わずか2億9,800万ドルであったが、2015年の輸出額は629億3,900万ドルに成長している。韓国の半導体輸出は、30年間で211倍に成長したことになる。
 だが現在、その半導体産業に、いくつか大きな変化が起こりつつある。その変化に韓国政府と企業がどのように対処するかによって、韓国半導体の未来は左右される。

 今回は、世界的に半導体産業に起こっている主な変化について取り上げてみよう。

 まず、中国のメモリ国産化の推進である。
 中国は、半導体部門では世界最大の輸入国で、巨額の赤字を記録している。中国は毎年2,000億ドルの半導体を輸入していて、それを自国で調達したいというニーズがある。そのなかでも、中国政府はメモリ半導体に狙いを定め、国産化しようとしている。
 中国のそのような計画は実行に移されつつあって、2018年になれば、半導体市場に大変革をもたらすことは間違いない。

 中国の新華通信によれば、北京にある中国最大手の設計チップメーカーのチンファ・ユニーグループは800億人民元を、武漢にあるXMCは1,600億人民元を、半導体国産化のために投資すると発表していた。それだけでなく、福建省電子情報グループは16日、中国政府との共同で370億人民元を投資し、メモリ製造工場を建設すると発表した。この工場は18年に稼動を開始する予定で、12インチのウェハーを月に6万枚生産できるキャパである。

 中国ではこのようにメモリ国産化が推進されていて、3社の投資額を合計しただけでも、2700億人民元になる。中国はこのような莫大な金額の投資だけでなく、技術を持った有名な半導体企業の買収や、台湾と日本の技術者のスカウトなどを積極的に進めていて、韓国が以前スマホ、掘削機などで経験したことを、半導体でも繰り返すのではないかと心配する声も多い。

(つづく)

 
(後)

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