2024年12月19日( 木 )

金融再編待ったなし~九州の信用金庫(5)

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1.九州の信用金庫の預金残高順位表
 別表1の通り、預金残高が2,000億円以上は、第1位の福岡ひびき信用金庫から大分信用金庫までの8庫。第一地銀最下位の筑邦銀行を上回る信用金庫はないが、第二地銀の佐賀共栄銀行を上回っている信用金庫は7庫あり、地銀にとっても無視できない存在であることは間違いない。

<この表から見えるもの>
◆九州に本店を構える28信用金庫のトップは福岡ひびき信金(野村廣美理事長)。
 預金残高は6,441億円で筑邦銀行の6,464億円にわずか及ばないが、第二地銀の宮崎太陽銀行の5,916億円を500億円強上回っており、第二地銀の上位に相当するボリュームがある。当期純利益は宮崎太陽銀行と同じ19億円台で、筑邦銀行の12億円を上回っている。ただ問題は預貸率で、宮崎太陽銀行の75.9%、筑邦銀行の66.3%に対し5割を切る49.7%であり、貸出金の増強が大きな課題となっている。

◆第2位の鹿児島相互信金の預金残高は5,212億円で、第二地銀の豊和銀行と福岡中央銀行を上回り、預貸率も66.6%と信用金庫の中では上位にある。
 ちなみに預貸率が一番高いのは同じ鹿児島県の奄美大島信金の77.4%。また鹿児島相互信金のライバルでもある鹿児島信金も65.6%と高く、鹿児島県の信用金庫は資金需要に積極的に応じているのが分かる。

◆第3位の大分みらい信金の預金残高は3,605億円。第4位の鹿児島信金は2,972億円。

◆第5位の熊本第一信金の預金残高は2,648億円で、西日本シティ銀行傘下の第二地銀である長崎銀行の2,342億円を上回っている。預貸率も56.9%と5割を超えており、肥後銀行やふくおかFG傘下の熊本銀行の攻勢に対して、預貸金とも善戦しているといえよう。

◆第6位の高鍋信金と第7位の飯塚信金は、第二地銀最下位の佐賀共栄銀行の預金残高2,172億円を上回っており、第8位の大分信金も肉薄している。冷静に判断すれば佐賀共栄銀行にはもはや経営統合の道しか選択の余地はないように思われる。

◆上位8金庫を県別に見ると、鹿児島県勢が健闘しているのが分かる。
 福岡県   福岡ひびき信金(1位)・飯塚信用金庫(7位)
 鹿児島県  鹿児島相互信金(2位)・鹿児島信金(4位)
 大分県   大分みらい信金(3位)
 熊本県   熊本第一信金(5位)
 宮崎県   高鍋信金(6位)
 佐賀県及び長崎県には預金残高が2,000億円を超える信用金庫はない。佐賀県には4信用金庫が競い合っているためであり、また長崎県は一つしか信用金庫はないものの、地銀の攻勢が厳ししいことがその要因と見られる。だからこそ両県の信用金庫は共に生き残るために、県境を越えての金融再編が求められているのではないだろうか。

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(つづく)
【北山 譲】

 
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