金融再編待ったなし~九州の信用金庫(6)
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1.九州の信用金庫の預金残高順位表
別表(2)の通り、九州の28信用金庫のうち、預金残高が2,000億円以下の信用金庫は20金庫あり、このうち1,000億円以上が11金庫、それ以下が9金庫となっている。
先に触れたように九州の信用金庫(28)の総預金残高は4兆8,643億円。その平均は1,737億円であり、このあたりが金融再編の目安となりそうだ。<この表から見えるもの>
第9位の遠賀信金の預金残高は1,917億円。第10位の大牟田柳川信金は1,751億円となっており、この2金庫は平均残高の1,737億円を上回っている。
ただ係数を比較すると、遠賀信金は預貸率が61.4%と高く、大牟田柳川信金は49.3%と5割を切っている。また店舗数も1つ多い15店舗にもかかわらず、役職員は185名で14人少ない。その結果は収益に表れ、遠賀信金の当期純利益は11億9,000万円。
一方2004年11月の合併から約12年を迎えようとしている大牟田柳川信金は、その半分以下の4億4千万円にとどまっており、収益体質の強化が大きな課題といえよう。第11位の熊本中央信金の預金残高は1,691億円。以下第12位の筑後信金から第19位のたちばな信金までの9金庫が1,000億円以上となっている。
この中で目につくのは佐賀信金。佐賀県は人口が83万人と九州7県のうち一番少ないが4金庫が競い合っている。しかしひぜん信金の当期純利益2億3,600万円。唐津信金2億2,600万円。伊万里信金2億5,100万円と他の信用金庫は2億円台を維持しているが、佐賀信金の当期純利益は8,500万円と1億円を切っており、収益体質が今後予想される金融再編のネックになるものと見られる。第20位の宮崎信金の預金残高は768億円。以下第28位の日田信金は412億円となっており、1,000億円を切っている信用金庫は9金庫。この中で目立つのは第23位の奄美大島信金の当期純利益が4,900万円。最下位の日田信金は3,900万円と1億円を大きく割り込んでおり、収益体質の弱さが今後予想される経営統合の足かせとなりそうだ。
まとめ
地域金融機関である地方銀行・信用金庫にとって人口の減少にともなう地域経済の縮小は深刻である。九州の地方銀行は今後ふくおかFGグループ・九州FGグループ・西日本シティグループに集約されていくと見られている。
しかし九州の信用金庫も合併を繰り返してきたとはいえ、まだ28金庫もあるのだ。単独で生き残れる目安の平均預金残高1,737億円を下回っている信用金庫は18金庫。日銀のマイナス金利政策は、ボリュームの小さい信用金庫にとっては生き残るのが難しい状況になっているものの、これらの経営者にも組み合わせ次第で、上位に食い込める「千載一遇のチャンス」もあるのだ。今まさに「金融再編待ったなし」といえるのではないだろうか。(了)
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