七転び八起きの『時代の寵児』IT業界から宇宙開発分野へ(前)
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SNS(株) ファウンダー 堀江 貴文 氏
挑戦と挫折を繰り返し、再び脚光を浴びる
福岡県で生まれ、東京都の中心部・六本木ヒルズで名声をほしいままにし、『時代の寵児』と評された堀江貴文氏。2000年代のITバブルで波に乗り、自家用ジェット機で諸国漫遊する姿がTVに映し出されると、羨望のまなざしで見る若者と疎ましく感じる中年世代とで賛否両論となった。これだけ毀誉褒貶の激しい人物も珍しい。
堀江氏が最初に世間の度肝を抜いたのが、04年の「プロ野球界参入」だった。大阪近鉄バファローズと親会社の近鉄の経営難による球団売却案が世に出るやいなや、いち早く堀江氏が救済の手を挙げた。大企業しかスポンサーになれないというジンクスを打ち破り、自ら創業したIT企業「ライブドア」の社名をIT業界からもっと広い世界に広めたい。そんな功名心もあっただろう。
結局、近鉄はオリックスと合併することで堀江氏の目論見は失敗に終わった。それからは「拝金主義者」のレッテルを貼られることになる。だが、そんなことでくじける堀江氏ではない。次にぶち上げたのが、05年の「ニッポン放送株大量取得」だ。要するにフジテレビを傘下に収めようという計画だった。
堀江氏がしつこく訴えていたのが「テレビとネットの融合」。テレビ番組は時間が限られており、放送しきれなかったものをネットで公開する。また、即時性の必要なニュースなどはネットで、臨場感が求められるスポーツ中継などはテレビで。そんな棲み分けを考えていた。堀江氏による「想定の範囲内」という切り返しが流行語(?)にもなった。
そんな戦いもフジテレビの抵抗に遭い、またライブドアの役員間でも多額の資金調達が疑問視され、結局は失敗に終わった。だが、堀江氏はその歩みを止めない。政界で数々の改革をしてきた小泉純一郎首相(当時)が05年9月、「郵政民営化」を問う衆議院解散総選挙を断行する手に打って出た。ここで勝利した新人議員は後に「小泉チルドレン」と呼ばれることになるが、堀江氏も小泉氏を支持して広島6区から立候補。自民党から非公認で側面支援を受け、小泉チルドレンに手をかけていた。とはいえ、地元で長年盤石な基盤を築いてきた亀井静香氏にはあらがえず、周りが大量当選するなか落選してしまった。
そして堀江氏の人生が一変したのが、いわゆる「ライブドア・ショック」だ。容疑は証券取引法違反。小口で売買できる魅力から多数の個人投資家を引き寄せていたライブドア関連銘柄が、検察の強制捜査を受けて大暴落。一時は7,000億円あったライブドアの時価総額は1,000億円を切ってしまった。
ここから丸5年間を費やす法廷闘争が始まる。無罪を訴えてきたが、一審で実刑判決が下り最後まで覆ることなく、約1年9カ月収監されることになる。そして13年3月、仮釈放によって世間に舞い戻り、さまざまなビジネスを手がけ再び脚光を浴びることになった。すぐに取り組んだのが、盟友であるサイバーエージェント社長の藤田晋氏とともに立ち上げた「755」というライフログアプリだ。
有名人の日々の活動にリアルタイムで触れられ、コメントのやりとりもできるということで大きな注目を浴びた。(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:高崎 博之
所在地:東京都港区元麻布3-1-35 VORT元麻布B2
設 立:2015年11月
URL:http://horiemon.com<プロフィール>
堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年、福岡県生まれ。SNS media&consulting(株)ファウンダー。元(株)ライブドア代表取締役CEO。2006年、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕されて実刑判決を下され服役。13年釈放。現在はロケットエンジン開発を中心に、アプリのプロデュースなど幅広く展開。関連キーワード
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