七転び八起きの『時代の寵児』IT業界から宇宙開発分野へ(後)
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SNS(株) ファウンダー 堀江 貴文 氏
ロケット開発にのめり込み、住民票を北海道に移す
そんな堀江氏は現在、その博識さを活かし、ネットビジネスを多方面で展開している。そのプラットフォーム的な存在が14年1月にスタートした「HORIEMON.COM」だ。自らの活動を情報発信するほか、ネット上に流れる情報を堀江氏が収集・分類してまとめるキュレーションとしての役割も果たしている。
メインコンテンツは「ホリエモンWITH」。ロボットやエネルギーなどの先端分野をひた走る研究者などと対談し、1つの製品が開発された背景を堀江氏が深めていく。
ネットでの稼ぎ頭は「堀江貴文のブログでは言えない話」という有料メルマガ。月864円で毎週月曜日発行、1万人以上の会員がいるとされており、これだけで1億円以上の売上があるという。堀江氏のもとに全国各地から集まる情報を、1回の配信につき最高6万字もの文字に落とし込んでいる。
堀江氏はグルメにもこだわりがある。自ら作り手になることで食の世界を深めている。そんな背景もあり、全世界の最高においしい料理店をキュレーターが厳選するグルメアプリ「TERIYAKI」や、動画で料理法を解説する「2'59cooking」を展開。また、和牛の持つ魅力を世界に広める「WAGYUMAFIA バーガー」というプロジェクトも手がけている。マンガ好きでも知られており、マンガで自著を発表したこともあるほど。14年に書評サイト「マンガHONZ」が立ち上がり、15年にマンガサロン「トリガー」を開設。ここには4,200作品以上のマンガが3巻まで置かれており、新しいマンガとの出会いの場となっている。そして16年、国内のマンガに関するニュースや新刊情報を集約した「マンガ新聞」も始まった。
さらに、より密度の高い人脈形成や情報交換の場として「堀江貴文イノベーショ大学校」を16年に設立。起業家や投資家、ビジネスマンがこぞって集まっている。そして堀江氏がもっとも執心しているのが宇宙開発事業だ。高価な大型ロケットではなく、民間の力で低コストロケットを開発し、宇宙をもっと身近にしたいという想いから、04年より自らロケット開発する道を模索。11年3月には1号機となる100kgf級ロケットの打ち上げに成功した。
そして13年1月に「インターステラテクノロジズ」(IST)を北海道大樹町に設立。15年12月末に堀江氏は住民票を同町に移すほどの熱の入れようだ。頻繁に来町してロケットエンジン燃焼実験に立ち合い、ふるさと納税へのグッズ提供などまちおこしにも協力する姿勢を見せている。
16年1月には新開発した10kN級ロケットの初燃焼実験に成功。さらに大手商社の丸紅と業務提携を結んだ。丸紅がISTに開発費を提供する代わりに新株予約権を取得し、商用化の際は営業を担当するという。転んでもタダでは起きない、どころか人より1歩も2歩も先を行く事業を立ち上げる。「七転び八起き」という慣用句が、まさに堀江氏にぴったりだ。
い。(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:高崎 博之
所在地:東京都港区元麻布3-1-35 VORT元麻布B2
設 立:2015年11月
URL:http://horiemon.com<プロフィール>
堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年、福岡県生まれ。SNS media&consulting(株)ファウンダー。元(株)ライブドア代表取締役CEO。2006年、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕されて実刑判決を下され服役。13年釈放。現在はロケットエンジン開発を中心に、アプリのプロデュースなど幅広く展開。関連キーワード
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