間もなく活動開始20年、地雷撤去から「自立支援」へ(後)
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一般財団法人 カンボジア地雷撤去キャンペーン
カンボジアでの地雷撤去活動支援や被害者救済などを行う一般財団法人カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC)。1998年4月の結成以来、その活動は約20年にわたり、地雷被害者数は20分の1ほどに減少した。一方で、対人地雷減少後の新たな地雷問題の表面化、また経済状況の変化も起こった。そのなかで、理事長の大谷賢二氏は地雷で手足を失った被害者の自立支援を行うことこそが重要と考える。
被害者の「就業支援」へ
――被害者数は確実に減少しているが、死亡事故は増加しているということですね。
大谷 さらに気をつけなければならないのは年間あたりの被害者数は減っていても、これまでの累積がありますから、地雷被害者の総数は当然増えていることとなります。次はそこに目を向けなくてはなりません。
――どのようなことを行っていく予定ですか。
大谷 被害者の方の仕事を保障し、自立支援を行っていくことです。カンボジアの農村部では健常者でも仕事に就くのが困難です。カンボジアにはトンレサップ湖やメコン川がありますが、その周辺を離れると少雨地帯も広がっており、水の確保が難しい。地雷被害者の方々が農業に就こうとなると、さらに困難な状況です。
地雷被害者に対しては、いわば隔離政策がとられ、例えばプノンペンから約110kmほど南に下ったデチョー村のように地方の農村部に集められています。そこでの生活は一定保護されていますが、自分で働いて収入を得るということができない状態にあります。――なぜ、就業支援なのですか。
大谷 食べることに困らなかったとしても、与えられて生かされるのでは生きる喜びもなく、人間としての誇りも失います。自分で働いて自分で稼いでいくことこそが、自身の誇りを取り戻し、また差別の解消につながっていくと考えます。
今、デチョー村で「さをり織り」という織物制作の導入を進めています。本部のある大阪で研修を終えて技術習得したカンボジア人を含め、現在2名の指導者がいます。カンボジア日本人材開発センター(CJCC)が毎年開催しているジャパンウィークで、今年はその2人がつくった「さをり織り」を出展したところ、現地のテレビ放送で取り上げられるなど高い注目を集めました。資金面から織機などの設備はまだ十分ではありませんが、軌道に乗りつつある段階です。――ほかに取り組んでいるものはありますか。
大谷 近年は首都圏を中心に経済発展が進み、カンボジアとタイの国境に経済特区(SEZ)が設けられました。中国経済の悪化や反日デモなどの要因もあって、いわゆるチャイナ・プラス・ワン、さらには水害や軍事クーデターなどの影響からタイ・プラス・ワンとも最近は言われ、カンボジアに拠点を移す日系企業が増えてきています。働く側からしても、工業であれば天候に左右されることもなく収入も安定する。双方にとってメリットがあり、斡旋するかたちでの支援に、現在動き出したところです。
――まだまだ問題は山積しているようですね。
大谷 教育支援の一環で設立したCMCコントラーイ夢中学校の周辺では、水源がなく、子どもたちは川の水を飲んでいる状況でした。そこで福岡で青少年健全育成を目指し活動している「ひまわり会」にご支援いただき、3万9,500リッター貯水できるタンク「ひまわりの泉」をつくりました。04年に建設した「ポップイ安倍小学校」の地域では、車が通れる道がなく、建材はすべて人力で運べるものに限られていましたので、小学校はトタン屋根づくりでした。校舎も古く痛んできましたが、水の問題はさらに深刻でした。16年春にはここにも「ひまわりの泉2号機」が完成し、きれいな水を確保できるようになりました。
今後はさらに根本的な部分を変えていかなくてはなりません。日本人がカンボジアで支援を行うことも重要ですが、それ以上に豊かになったカンボジア人自身が自国の人々を助けることはより重要です。自立支援は「支援漬け」にしてしまうこととは違う。経済的に豊かな都市部のカンボジア人の多くは地雷問題のことを知らない事実があります。彼らへの啓発活動も行い、これからは都市部に住む富裕層のカンボジア人の青年たちが、辺境の貧しいカンボジア人のサポートをする、そのようにしていきたいと考えています。(了)
<COMPANY INFORMATION>
理事長:大谷 賢二
所在地:福岡市早良区西新1-7-10
設 立:2011年4月(結成:1998年5月)
TEL:092-833-7676
URL: http://CMC-net.jp<PRESIDENT PROFILE>
大谷 賢二(おおたに・けんじ)
1951年、福岡市生まれ。九州大学法学部卒。98年5月、NGOカンボジア地雷撤去キャンペーン結成。2008年12月、アジア人権基金より「アジア人権賞」を日本人として初受賞。11年4月、一般財団法人カンボジア地雷撤去キャンペーンを設立、理事長に就任。関連キーワード
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