人口増が続く福岡市の今後の都市づくりの方向性とは(後)
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M&R地域マーケティング研究所 代表 吉田 潔 氏
(株)環境デザイン機構 代表取締役 佐藤 俊郎 氏神戸市の人口を抜き政令市として5位の都市となるなど、全国的に人口が減少している自治体が多いなか、人口増の勢いが止まらない福岡市。福岡市は今後、人口減が進む日本のなかで、どういった独自の強みを打ち出し、どのような街づくりを進めていくべきか――。これまでさまざまな地域づくりに携わってこられたスペシャリストである、M&R地域マーケティング研究所・代表の吉田潔氏、(株)環境デザイン機構・代表取締役の佐藤俊郎氏のお2人に、対談をしていただいた。
佐藤 本来ならば福岡は、釜山であれ、ソウルであれ、シンガポールであれ、そうしたところと肩を並べて競争するということが、本当は一番できやすい街なんだろうな、と思いますね。距離感や交通の便も含めて。そういったところの、地理的な条件というのは、ほかの街に比べても格段に優位な点だと思います。
それで、「福岡は何で勝っていくか」「福岡の基盤は何か」という話ですが、たしかにアジアから来る人たちもそうですし、国内から見ても、住みやすさというところでは誰もが言っているわけですが、それをさらにどう発展させていくのか。たとえば以前よく言われていた「道州制」のようなものは、ずっと言い続けてもいい動きだと思います。ほかのところができなかったら、とにかく九州だけでも、とかね。
そのとき、仮に九州がほかと切り離され、福岡市が『首都』という意味合いになったときに、どういう風格と、どういう街であるべきなのか。九州という大きな枠組みのなかでの福岡市の役割みたいなものを論じたほうが、可能性が出てくるような気がするんですよね。今はもうあまり聞かなくなりましたが、「道州制」の州都というのも、夢ではないのではないか、と。吉田 福岡が昔から、「ダム効果」と言われていましたよね。東京に流れていくのを福岡でストップさせるという意味で。そういう機能がある。たしかにそれはそうで、だから人口が増えているんですけれどね。箱崎の問題に関して言えば、100年の計じゃありませんが、相当長期的なスパンに立った見方のできる人の知恵を集めてやらなければいけないと思います。
やはり人間が仕事して生きていくうえで、飲んで、食べて、遊んで、文化的なクリエイティブ性みたいなものがあって、生業があって――と、これはもう車の両輪みたいなものですから。どれが欠けてもならないわけです。やっぱりそれをうまく、バランス良く、回していくということです。市全体としては、どれに特化しても良くない。佐藤 私は、やはり大学――最高の教育機関というのは、すごく大事だと思いますよ。いろいろな研究をやるということもそうだし、今は大学が実学と結びついているようなところがすごくあるじゃないですか。そういった意味では、九大が福岡にあるということを、大学そのものがどう位置づけていくか。そういうことも、福岡の戦略上、すごく重要なことじゃないかと思っていて、やはり九州・福岡を背負っていく大学として、どういった独自性を出していくのか、どういう技術がほかのところよりも際だっているのか。それを波及する場、実証する場として福岡がある、というところがあればいいんじゃないかと思っています。
(了)
<プロフィール>
吉田 潔
1946年生まれ。地域マーケティング研究所代表。和歌山大学観光学部特別研究員/西日本工業大学客員教授/福岡大学商学部非常勤講師。地域おこしのスペシャリストとして活動している。趣味は、オーケストラでのヴィオラ演奏のほか、フルート演奏、読書、園芸、猫など多彩。<プロフィール>
佐藤 俊郎
1953年生まれ。九州芸術工科大学(現・九州大学)、UCLA(カリフォルニア大学)修士課程を修了。アメリカで12年の建築・都市計画の実務を経て、92年に帰国。94年に(株)環境デザイン機構を設立し、現在に至る。法人名
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