東ヨーロッパには何があるのだろう(8)
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教会といえども、市民にとっては抵抗と勝利のシンボル
「聖ペトロ・パウロ教会」は1668年、ロシアからの解放を記念して建てられた、ヴィリュヌス随一の美しい教会だ。内装の完成までに、30年以上かかったという。2,000以上の白の漆喰彫刻が圧巻のバロック様式である。観光客に人気で、誰もがその彫刻に驚く。
天空を行くように天井から吊るされた船。もともと漁夫だった聖ペテロにちなんだものという。白い彫刻のなかには王冠をかぶった髑髏像もあり、繁栄と権力と死。そして神による救済――。教会のテーマは、この4つで彩られる。皮肉と矛盾教訓。教会は、人生を示唆するオブジェで満ちている。
世界中からやって来る観光客は天井に、壁に、そして祭壇に感嘆する。だが、漆喰に塗り固められた涙の歴史は、豪華な装飾に隠されて、観覧者の意識の表に出てくることはない。信仰を持つ民にとって、教会は権利と共にある自らの存在のシンボルでもあるのだが…。
(つづく)
<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。関連記事
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